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いつの間にか私は彼を智くんと呼ぶようになって、彼は私のことをAちゃんと呼ぶようになった。
あだ名も何も無い普通の呼び方。
最初は、そこまで年齢は変わらないけど智くんの方が年上だし、さん付けにしようとしてた。でも『カタイカタイ』と言われて智くんになった。
今もこうして、釣り堀だったり川釣りだったり海釣りだったり。帰りに飲みに行ったり。近所だし頻繁に家に行って宅飲みしたり。
色んなとこに一緒に行く友達になった。
だけど、私は彼の彼女では無い。
彼に彼女はいないらしい。私にも彼氏はいない。
というか、一度もそんな話になったことがないのだ。
ただ、昨日。
智くんの家に行って、宅飲みをしてた時。
初めて智くんに、体を押し倒された。
「...智くん？」
「、...わり、おれ先寝るわ」
だけど、すぐに理性を取り戻した彼は寝室に１人で消えた。
なぜか残念な気持ちが残る。あの後、私は静かに家に帰った。
そして今日の朝。電話がかかってきた。
いつもの釣りの誘いだった。
覚えてないのかな？と思いつつ、いつもの感じで智くんと話してる。
「熱中症なりそうなくらい暑いね」
「うん」
「汗止まらないー」
彼は今日、ほとんど喋らない。
いつもだったらもっと喋るのに。初対面の時みたいに喋らない。
やっぱり覚えてるのかな。
「智くん」
「ん？」
「昨日のこと、気にしなくていいからね」
「...」
「私は大丈夫、だから」
そう言うと、彼の視線が少しうろうろする。
やっぱり、覚えてるんだ。
「ごめん、おれ」
「謝らなくていいって」
アハッ、と軽い笑い声を出してみる。
だって、女１人で男の家に乗り込む私が悪いんだから。
でも、少し経って「じゃなくて」って声が聞こえた。
「ん...？」
「おれ、Aちゃんのこと好きになった」
視線が絡む。
いつも目合わないのに。
なんでこういう時だけこっち向いてんのかな...智くん。
「もう、ちゃん付けで呼びたくない」
「、」
「おれと付き合ってくれませんか」
智くんが体ごとこっちを向いた。
昨日あの時、残念に思った理由って、こういうことだったんだ...。
「...智くん」
「...ん？」
「今気づいたよ、私」
「...何に？」
「私も智くんのこと好きだ、って...」
俯きながらそう言うと、私の頬に少しヒンヤリしたものがくっついた。
智くんの唇だった。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
