#3 ページ16
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「これはね...」
私の方向に教科書を向けてるからか、
反対文字を読むのに必死な相葉先生。
結構近づいて読むから、顔が近い。
「前の時間にこの公式を教えたでしょ？」
「はい」
「それをココに当てはめて、答え出すのね」
と言った直後に「ちょっと待って」と後ろを向いて
手を少し上げた。
「エッ、グシュン！」
「すっごいくしゃみですね」
「ごめんごめん」
「ホントに治ったんですか？」
「うん。これは秋花粉だよ」
秋花粉かぁ。私はまだ春花粉だけだからマシだなー。
「先生って」
「ん？」
「なんで理科の先生になったんですか？それも、化学の」
そう訊くと、先生はまた笑い出した。
「勉強の話はどこ行ったんだよ(笑)」
「ごめんなさい(笑)」
「これ終わったら教えるから、やろ」
「教えてくれるの？」
「うん」
その後は、集中して相葉先生の話を聞いて、わからない所を克服した。
「どうしてそんなに、俺のこと訊いてくんの？」
先生が、自販機でコーヒー牛乳を買ってくれた。
「今までこんなに質問されたことないから、なんかビックリしちゃうよ」
「ビックリしてるようには見えないですよ？(笑)」
別の階で吹奏楽部が演奏してる曲が聞こえてくる。
「好きな国語の先生がいたんだ」
「国語の先生？」
「そう。その先生は、進路部の先生でもあって。進路のこと以外でもすごく相談にのってくれたの」
「...」
「その時は違う夢を持ってたけど、段々教師になりたいって思うようになった」
吹奏楽部が演奏をやめた。このフロアは誰もいないから声が響く。
反響して、先生の声がよく聞こえてくる。
「化学を選択したのは、その中でも得意だったから」
「へー」
「人に教える立場になって、ちゃんとみんなに分かってもらえるようじゃないと、教師になっても意味無いかなって。」
先生の授業が分かりやすいのは、そのせいか...と漠然と思った。
「先生、笑った方がいいよ、絶対」
「え？」
「なんか...よく分からないけど...。
先生とよく話すようになってから、...てか今の話聞いて思った。元々よく笑ってた先生なんじゃないかなって」
「...」
先生は表情を変えずに、私のことをジッと見つめてる。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
