第42話 ページ2
なんとなくだった。
灰色の部屋ではやることがなくて、無造作に置かれたテレビをつけると、あるニュースが映し出された。
『放課後を狙った犯行か？』
『敵連合に連れ去られた少女の行方は？』
『敵連合の目的とは？』
「…これ、私のこと？」
テレビには大きな文字でそんなことが書かれていた。
もちろん、ニュースキャスターのうしろにはさっきまで私と出久が居た場所が映し出されていた。
でも、どうして？
『現場に居合わせた少年の通報により…』
「…出久」
そっか。
出久が通報したんだ。
そうだよね。
幼なじみが目の前で敵連合の長に連れて行かれたんだもん。
そうするよね、普通は。
「…ごめん」
誰に届くかも分からない呟きは、灰色の壁に消えたいった。
『敵連合については情報も少なく、警察やプロヒーローも手が出せない状態です』
警察やプローヒーローも手が出せない、か。
じゃあ尚更、助けなんて来ないよね。
改めて、敵連合の強さを体感した気がした。
私が今まで見てきた姿からは想像なんてできない。
寝起きが悪くて、わがままで、突拍子がなくて、少し子どもっぽい弔。
優しくて、料理が上手で、気遣いが出来て、お母さんみたいな黒霧さん。
ここ数日で私が見てきた二人は、一般人とはなんら変わりもない。
でも、それでも。
やっぱり二人は敵連合で、私なんかが適う相手じゃないんだ。
そんなこと、分かってた。
きっと、初めから。
見て見ぬふりをしてきたんだ。
一緒に居ると心地が良くて、幸せで、敵だなんてことを忘れて楽しんでた。
『ずっと隣に居たい』だなんて、心のどこかで思っていたのかもしれない。
思っちゃいけないのに。
『ヒーロー』と『敵』
この関係が確立する世界で、こんなこと願っちゃいけなかったんだ。
願ってないと思ってたのに。
心の奥底で、気持ちだけは反応してたんだ。
それに気付かないまま、その気持ちに蓋をしたままこんなところに閉じ込められて。
「…何やってんだろ、私…」
ズルズルと気持ちが沈んでいった。
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暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
