第十六話 闘いを好む者 2 ページ34
彼女が拳で殴りかかってきた瞬間に、左足を少しだけ後ろに引き必要最小限の力で避ける。
そして、大振りなパンチを避けた後に軽く拳を作りミリムの腰骨へと放つ。
間一髪のところで避けるミリム。流石は魔王ね、と納得してしまった。
これは前世の体に染み付いたものだった。護身術などを習っていたから出来た技なのだろう。
「アハハハハハハハ!!面白い、次は本気で行くぞ!!」
大地が揺れ始め木々に止まり羽休めに来た鳥達は、
異変に気づき逃げるように羽をばたつかせた。
そしてミリムはこの一発で仕留めるように気をためた。
「ミリム様、貴女の負けです。」
彼女は魔素を溜めた拳を私の顔面に向けて出してきたのだ。
私は彼女の拳を片手で止めた。彼女はやはり子どもだった。
「…!?私のパンチが!!」
「エッ…魔王の攻撃を…」
「「「「「「「とめた!!!!????」」」」」」」
いつの間にか見にいていたベニマル達はその姿に驚いた。
受け止めた拳には煙が立ち込める。ミリムは戦闘になるとあまり考えなくなる。
私が魔素を込めた拳が効かないとは思いもしなかったのだ。
「ミリム様、魔素を込めていても私には効かないの。
今日は戦って下さり有り難うございます。貴女にお返しを…。」
そう言い、ぽかんとしているミリムに私が今朝作ったチョコレートマフィンを
手渡した。するとミリムはキラキラした顔でそのマフィンを見た。
「うっうわあああああ、美味しそうなのだ!!」
「じゃあ貴方様は私との闘いの引き分けを認めますか?」
そう言うと即答だった。マフィンがそこまで食べたかったのだろう。
リムルを見ると心配そうな顔で立っていた。
「リムルさん私は負けなかったでしょう?だから、もう大丈夫ですよ。
こちらに来て下さい、リムルさん。」
リムルさんの目は少しだけ○んでいた。街の民が危険に陥るのが余程不安だったのだろう。
彼は小走りで来ると、私はリムルさんを抱きしめた。
「泣かないで下さい、私は無傷です。でも、あの魔力を見るとすこしばかり
恐れてしまう気持もわかります。それを部下の方々に出さなかった貴男様。」
抱きしめ耳元で話す。そう、彼はまだ身近で愛する人が消えてしまう恐ろしさを
体感したことがない。でも誰かを失ってしまう傷を負ってしまう未来が近づいている。
そんな予感がした、この予感が当たらないことを祈りながら私は彼の頭に唇を落とす。
こうして魔王ミリムとの闘いが終結した。
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朱里(プロフ) - 続けてすみません。第十三話のエレンの名前が〇〇〇になってます。意図的だったらすみません (2021年12月11日 19時) (レス) @page27 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 楽しく読ませていただきました!第四話から出でくる〇〇〇ジンとはどのキャラですか? (2021年12月11日 19時) (レス) @page7 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - ユトさん» ユト様→ご指摘ありがとうございます。訂正致しましたのでご覧になってまた違和感がありましたらご指摘お願い致します! (2019年4月14日 19時) (レス) id: 79f5829be5 (このIDを非表示/違反報告)
ユト(プロフ) - とても面白いです!あと、ミリムの名前は、ミリム・ナーヴァですので訂正お願いします。 (2019年4月13日 6時) (レス) id: 7c4b452e79 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - 暇人114514号さん» 暇人114514号様→いつも読んで頂き有難う御座います。名前が同じとは光栄です笑 また、更新していくのでもしよろしければ又宜しく願い致します笑 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 760c82b915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:山北 | 作成日時:2019年3月20日 0時