第十二話 街の再開 2 ページ25
ーー
ソウエイ視点
Aの笑顔を見た瞬間、此処にいる全ての者が彼女の虜に包まれたであろう。
オークロード討伐の後には涙を一人で流した彼女だが、
もう彼女の哀の感情は微塵も感じさせない風だった。
「綺麗だ。」
隣にいるベニマルが呟いた言葉。彼もまたAの魅力の虜になった者の一人。
そしてこの私もだ。ゲルドと一緒に歩いてきた彼女は魅力的だった。
白い花が彼女の藍色に近い黒の髪を光らせていた。私はゲルドが羨ましくなった。
彼女と堂々と歩き、そして愛おしいという目で見るゲルドが。
「ガビルさんの妹さん、貴女は兄思いで芯がありお強い。
きっとソウエイの力になるわ。彼が忍だとしたら、貴女はクノイチね。」
蜥蜴人族の妹に話しかけているAは話しながら私の方を見る。
心が跳ね上がる、しかし私は陰だ。Aに近づくことはあまり良くない。
だから、この胸の高鳴りを抑えるように目線を少し下げた。
「はい、Aが言って下さるのであればこのソウエイ善処いたします。」
我ながら愛想のない冷たい返事であったと思う。
私は素直に堂々と彼女に言葉をだせる者がとても羨ましかった。
悲しく、醜い嫉妬だ。
” 彼女が私だけに甘えてくれればいいのに。 ”
その言葉が頭に響くばかりだった。
ひどく醜い感情に私は顔をしかめた。
「ねえ、ソウエイ。私にこの世界のことをまた教えてくれる？。
貴女の知識を教えて欲しいの、今夜あの丘で待ってるから」
突然耳元に聞こえた言葉。彼女が私に思念伝達を行っているからだろう。
その言葉でさえも私を喜ばせる貴女がとても愛おしく感じ笑みをこぼしてしまうのであった。
ーーー
街の再開を皆で祝わう、この夜。私は一人酒を飲んでいた。
先ほどまで皆と和気藹々しながら食事を楽しんでいたが、ソウエイとの約束が在る。
この世界について教えてもらうこと、だが本当は彼の意見やふと見せる笑顔が見たいがためだった。
一人丘につき、日本で言う果実酒の様なものを嗜む。お酒を飲むと煙草を吸いたくなる。
煙草に火をつけ、光り輝く美しい月を見る。
「月が綺麗ですね。」
昔の本を書いた人が行った言葉。私はこの言葉を気に入っていた。
不器用だが愛する者を思う言葉は美しいと感じる。
「A、お待たせ致しました。月よりも貴女の方がお綺麗だ。」
言葉を聞いていたのかソウエイは月の光に包まれながら優しい笑みをしていた。
その姿に戸惑い、私は夜遅く迄彼と話をするのだった。
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朱里(プロフ) - 続けてすみません。第十三話のエレンの名前が〇〇〇になってます。意図的だったらすみません (2021年12月11日 19時) (
レス) @page27 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - 楽しく読ませていただきました！第四話から出でくる〇〇〇ジンとはどのキャラですか？ (2021年12月11日 19時) (レス) @page7 id: 1848b8e1d2 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - ユトさん» ユト様→ご指摘ありがとうございます。訂正致しましたのでご覧になってまた違和感がありましたらご指摘お願い致します！ (2019年4月14日 19時) (レス) id: 79f5829be5 (このIDを非表示/違反報告)
ユト(プロフ) - とても面白いです！あと、ミリムの名前は、ミリム・ナーヴァですので訂正お願いします。 (2019年4月13日 6時) (レス) id: 7c4b452e79 (このIDを非表示/違反報告)
山北(プロフ) - 暇人114514号さん» 暇人114514号様→いつも読んで頂き有難う御座います。名前が同じとは光栄です笑 また、更新していくのでもしよろしければ又宜しく願い致します笑 (2019年4月4日 17時) (レス) id: 760c82b915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：山北 | 作成日時：2019年3月20日 0時
