博麗大結界 八百陣結憂 ページ15
幻想郷の端の端、博麗大結界の真隣で、八雲紫は頭を抱えていた。
たった今起きている、妖怪が操られる異変。それが起きた原因の幻想入り大量発生による外来人の過多。元を辿っていけば、異変が起きた責任は紫にある、と紫は考えていた。だから、結界の修繕も紫一人でするべきだと考えていたが、それも限界に近づき、結界にもヒビが入り始めていた。
(猫の手も借りたい、ってやつかしら…)
絹のように滑らかな、自分の金髪を弄びながら紫はため息をついた。
「紫さん、今、大変だそうですね。お手伝い、しますよ」
凛とした、しかし柔らかな少女の声がして、紫は振り返った。濡烏色のロングヘアを揺らし、霊夢と色違いの灰色の巫女福に身を包み、蒼碧の瞳で紫を見据える10代程度の少女が立っていた。その少女は、紫には大いに見覚えがある少女だった。
「結憂…!」
紫の口から、心から期待していたような声が溢れた。
そして少女___祓魔師・八百陣結憂は、結界に入っている亀裂に手を当ててなぞりながら呟いた。
「ふむ。これは、かなり、危険ですね。ですが、わたしの力なら、今日中、いいえ、半日もかからず、修繕できるでしょう」
「え、本当なの?別にあなたを疑っているわけではないけれど、そんなに言い切れるものなのかしら?」
紫は不安そうに結憂に語りかける。その懐疑的な捉え方も仕方ないだろう。紫が何日使っても解決できなかった問題をあっさりと「できる」と言ったのだから。すると、結憂は呆れたようにため息をついて、
「はい、嘘では、ありません。あなたは、とても、胡散臭いですが、わたしは、嘘は、言いません」
余りにも配慮のない物言いに、紫はう、と声を詰まらせたが、そんな事を言っている場合ではない。いまは結界の修繕が最優先である。
「今の、結界は、外部から、幾度も、結界を破り、なにかが、侵入してきた事による、脆弱化と、内部の能力の、せめぎ合いによる、圧迫が重なり、ヒビが、入っています。ならば、やるべき事は、結界を、幾つも重ね、強化する、事です」
「でもそんな事言ったって、方法が無いじゃない」
紫はすぐ結憂に反論する。しかし、結憂はスカートの裏と着物の袖から注連縄や札を取り出し、笑いながら、「いいえ、ありますよ」と断言した。
「簡単です。外に、被せるのではなく、内側に、増設するんですよ。幸い、結界周辺は森です。被害は、殆ど、ありません」
まさに逆転の発想だ。しかしかなりの無茶だ。だが、紫には結憂は余裕でやってのけるように思えた。
結憂の能力___『結界を操る能力』があれば。
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サクラドール・フューラースカーレット(プロフ) - お話がいっぱいになった為続編を作ります! (2021年4月1日 23時) (レス) id: b68c219d90 (このIDを非表示/違反報告)
若草。@ねむねむ星人(プロフ) - はじめまして、若草と申します。更新をさせていただきます。 (2021年4月1日 21時) (レス) id: 0df262be83 (このIDを非表示/違反報告)
かぽなん(プロフ) - 更新させていただきました (2021年3月17日 21時) (レス) id: 0de375209c (このIDを非表示/違反報告)
かぽなん(プロフ) - 初めまして、かぽなんです。更新させていただきます! (2021年3月17日 20時) (レス) id: 0de375209c (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪@低浮上(プロフ) - 更新しました! (2021年3月4日 17時) (レス) id: 52e526ba44 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他7人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2020年10月20日 17時