【募集企画】東方幻想記録物語 3巻

最弱　珠城 ページ27

に、と畔が笑う。

無理しているように見えるが笑みは己を保つためと伺えて、それについて言及するわけにはいかない。


「ならさっさと倒すぞ、俺は俺で勝手にやる！」


「いや協力しろ！？」


ていうか口調変わってね？と何やら騒いでいる。

五月蠅いのは無視、さっきの銃弾は確実に当たったが大したダメージではないらしい。


不意に前方を走る餓鬼がくるりと振り返る。


目が、合う。


狂気を含む瞳に言い知れぬ恐ろしさすら感じて、条件反射気味に狙いを定める。


この中で戦闘能力が一番低いのは俺だということくらい分かってる心算だ。

あちらから、馬鹿正直につっこんできてくれるというのなら好都合。


ばんばん、と続けざまに二発。


避ける、という行為には覚えがあるのか一発は外れてしまった。


走る足を逆方向に回して後退る。

急激に接近して刃を振り回す様は熟練者のそれで軌道が読めない。


痛覚はないのか赤をだだ流しにしたまま獣の如く低い唸り声を上げる。知性のある獣、というのもこれで中々厄介だ。

くるりと回る餓鬼の動きに比例して幾何かの痛みを受ける。

線を描かれたように肌が色づく。


この状態も、きっと長くは続かない。強さを身に着けたって敵わないものがあることを知っている。

これじゃあ体力が尽きて、障害を除く踏み台とされるだけだろう。


「珠城！」


「引き付けてるんだから早くやれよ！俺だって未だ死にたかない！」


「っ、ああ、分かってる！」


怪我をしている畔を使うようで悪いがこっちも楽じゃない。

さっさと、倒してくれることを期待しようか。

理由 照→←かなりヤバイ　畔

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