接触 珠城 ページ31
「こ、これは、私がおやつに用意していた団子の匂い!真逆幽々子様、また食べたのですか!?」
また、と、頭を抱えた妖夢は言った。
この屋敷の主はやっぽどの大食いなのだろうか。
にしても、団子の匂いか。俺にはよく分からないが、妖夢が用意したのなら分かる、のか。
団子なんて久しく食べてないな、そういえば。
下らないことを考えながら呆けていると、匂いの出所でも当てたのか「こっちです」とずんずん先に進んでいく。
嗅覚が優れているという方が正しいかも知れない。
「幽々子様!あれ程食べてはいけないと・・・!って、畔さん?」
ほぼ走って行った妖夢をゆっくり追いかけていくとそんな声が聞こえてきた。
この距離ともなれば流石に香ばしい団子の匂いも漂ってくる。
畔、とは一体と憶えの無い名前に軽く後ろ髪を引っ張り視線を投げかける。
「妖夢じゃないか。・・・病人じゃねぇのか?」
「病人?」
「あ〜、病人は妖夢じゃないわよ〜。彼、起きたのかしら?」
「ええ、起きまし、って、団子の件を有耶無耶にしようとしないでください!何しれっと棒を隠そうとしているんですか!口の周りについてるのでバレバレです!」
わーわーと騒がしい。
どうやら桃色の髪をした女性が西行寺幽々子らしい。
であれば、黒髪に毛先が紫がかっている女性が先程言っていた畔、という人だろう。
それにしたって後者は不思議な人だ。
立ち姿に隙がない。否、隙がないのは剣士と自称した妖夢もそうだが、それにしたってなさすぎる。
逆に不自然なくらい。
要、警戒対象。
己の中で位置づけられた。
「何んか変か?そんなに見つめられても困るんだが」
「あんまり綺麗だったもんでついつい。お名前、伺っても?」
「尋ねる前に名乗るのが礼儀じゃねぇのか?まぁ構わないが」
「あー、すみません。俺は阿野永珠城です」
「仲西畔だ」
仲西、畔ね。
仮初の笑みを張り付け手を差し出す。
「・・・」
真剣な表情で差し出した手を見つめられる。
応答はないらしい。
「胡散臭いな。隙間妖怪と同じ匂いがする」
「は、」
相変わらず主従の二人は騒いでいる。
ぼそりと呟かれた言葉を、確かにこの耳は拾った。仮面を張り付けたまま、固まる。
――嗚呼、この世界はやりづらい
どう誤魔化そうか考えながら、心中で嘲りの音が響いた。
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彼岸花_毒 - 更新しました。 (2019年7月16日 1時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花_毒 - 臼井咲さんありがとうございます! 更新します (2019年7月15日 23時) (レス) id: ed1de518a2 (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - 更新しました! (2019年7月15日 18時) (レス) id: 1a8f9f7b82 (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - 更新します。 (2019年7月15日 17時) (レス) id: 1a8f9f7b82 (このIDを非表示/違反報告)
臼井咲(プロフ) - 一応お話しは作りました!後は彼岸花さんができるまで待機です! (2019年7月15日 15時) (レス) id: 505560354e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2019年6月16日 17時