【募集企画】東方幻想記録物語２巻 (ページ29)

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白玉楼にて　珠城ページ29

「・・・ん」

「あ・・・、お、おはようございます！？」

再び目を開ける。

視界に映ったのは気まずそうに俺の頬を弄んでいた指をそろりと後ろに隠す銀髪の少女の姿があった。

「・・・え、っと。誰？てか、どこ？」

質問として、そのまま疑問をぶつける。

性格が心中と違う？勿論態とだ。

こんな性格を曝け出して信頼を勝ち取れると言われれば無論否。なら、偽った方が迅速かつ楽だ。

「あ、はい。私は魂魄妖夢で、ここは幻想郷という忘れ去られたものが集う世界の冥界にある幽々子様管轄の屋敷である白玉楼です。私はここで庭師兼剣士として働いています」

「・・・魂魄さんだっけ。ツッコんでも、いいかな」

曖昧な笑みを浮かべると、事情を知っているらしい彼女は同じく微妙な笑みを作る。

「妖夢でお願いします。敬語もいいですよ。まぁ突然こんな見知らぬところに放られたらそんな反応にもなりますよねー。どうぞ、答えられる範囲なら何でも聞いて下さい」

同情された。

やはり、彼女は知っているか。

なんでも聞いていいとのことなら遠慮なく聞かせてもらおうか。

・

成程ね。

整理しよう。

まず、ここは幻想郷という日本ではあるがそうではない、今一理解はできない場所だということ。

科学的に理解するのは諦めることにした。

次に、この世界の外、つまり俺の場合は日本に当たる訳だが、そこから来た人間を外来人と呼ぶこと。また、その現象を幻想入りという。

幻想入りする方法は様々で、外の世界に忘れ去られたケースや、偶々時空の歪みに巻き込まれてしまったケースなどもあるらしいが、俺の場合は八雲紫という、この世界の創造主の一人で賢者の名を冠する女が能力と呼ばれる超能力として分類される力により、転移？されたらしい。

曰く、隙間妖怪だとか。

そこらへんは良く分からないが、ひょっとしたら、俺の体質もそれに値するのだろうか。

帰る方法もあるらしいが、別の道も提案された。

それについては、この屋敷の主である西行寺幽々子の前で、とのことらしい。

で、現在はその西行寺幽々子を探している。

にしたって広い。廊下ですら質素な中から気品を感じ、すぐ脇には立派な日本庭園。

些か気圧されるのは日本人として間違っていない感性の筈だ。

「妖夢は庭師、って言ってたけど、ここも妖夢がやったの？」

「ええ、一応ですけどね。それにしたってどこにいったんでしょう幽々子様。自室に居るって言ってたのに」

困った様子で首を傾げ、そして、あ、と漏らす。