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「酷いねえ」
嘆くように呟く先生に、宇佐美さんは「うっさい」と怒鳴った。
「私は卑怯な手を使ってまで1位になろうとしたあいつにムカついて喋りたくなかっただけ。
それの何が悪いの?」
「香帆に1票」
「はい俺もー」
「クスリ使うような奴と仲良くなれないよな」
「そうそう、自業自得でしょ」
「まあ、スポンサーに金もらって豪遊してたって話も聞くし?
他にも色々ボロが出てくるんじゃねえの?」
みんな、景山さんがドーピングをしたことを前提に話をしている。
「景山って男関係も派手だったんだろ?」
「アスリートってすっごい性 欲強いらしいよ」
「俺の友達もやったって言ってたし」
どうしてそう思えるんだろう。
その情報のどこに、確証があるんだろう。
「嫌われるべくして嫌われた人間だったんだよあいつは!」
景山さんに対する誹謗中傷が、教室に充満していく。
「…ふざけんな」
隣から声が聞こえた。さくらだった。
空気に溶けて消えてしまいそうな、か細い声だった。
私以外には誰にも聞こえていなかった。
甲斐君が言い放つ。
「あんなやつ死んで当然だったんだよ」
「…ふざけんな」
さくらはもう一度言った。
呟くようだったけれど、教室に響き渡るには充分だった。
「あ?」
甲斐君がさくらを威嚇する。
でもそんなもので怯むほど、さくらの怒りはちゃちくなかった。
「ふざけんじゃねえ!!」
さくらは叫ぶと甲斐君に突進した。
飛びかかり、右膝を甲斐君の腹に食らわせる。
鮮やかな飛び膝蹴りだった。
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さな×りお(プロフ) - かなとさん» 指摘していただきありがとうございます。訂正いたしました。 (2019年4月1日 18時) (レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年4月1日 16時) (レス) id: 977ff24faa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さな×りお | 作成日時:2019年4月1日 15時