相合傘 ページ13
｢あ、信号青になりましたよ。｣
トミーさんがそう言って、
青に変わったばかりの
信号を、
ほぼ、同時に、
渡り始める。
信号を渡り終えた頃、
｢家は近いの？｣
私の右側を、
私のペースで、
歩いてくれていた
トミーさんに声を掛けられた。
『...歩いて10分くらいの所です。』
トミーさんに声を掛けられ、
トミーさんが隣にいて、
しかもトミーさんに、
傘をさしてもらっていて、
しかも、相合傘で、
私は、
嬉しさと、
恥ずかしさと、
緊張で、
頭の中が、少し...
いや、だいぶ、
パニックになっていた。
｢それなら、大崎さんが嫌じゃなきゃ、送ってくよ。｣
私の返事に、
トミーさんは、
私の方に、
視線を落とし、そう言った。
『...え...そ、そんな迷惑掛けられないです...。』
緊張からか、
こちらを見ているトミーさんと、
目を合わすことが出来ず、
俯いた。
｢迷惑じゃないよ。大崎さんが、嫌か嫌じゃないか言って。｣
トミーさんは、
優しい声で、そう言った。
...そんなの、
『...嫌...』
嫌なわけないじゃん...
『...じゃないです。』
相変わらず、
俯いたまま、
返事をして、
チラッとトミーさんの方を見ると、
｢分かった。じゃあ、送るからな。｣
トミーさんは、
二ヒッと、嬉しそうに笑った。
続く
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作者名：渚 | 作成日時：2018年12月18日 0時
