兄の先輩 (水溜りボンド・トミー) (ページ38)

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38.ライバルページ38

「昨日、誘えた？」

結莉に聞かれた。

『んー、誘ったというか...。』

「誘えなかったの？」

『でも、お兄ちゃんとかと皆で行くことになったよ。』

「え？皆で？なんで？」

結莉は、ハテナ顔をしている。

『んーなんでだろ...。』

私は、昨日のトミーさんとのやり取りを思い出していた。

奈菜美ちゃんも、トミーさんのこと好きなんだから、

そりゃ、好きな人と花火大会行きたいよね。

花火大会、誘うよね。

でも奈菜美ちゃんと2人で行くことになってなくて良かった...。

「まぁ、でも好きな人がそこにいるならいいじゃん！楽しみなね。」

『うん♪結莉、ありがとね！』

私は今日もバイトがあり、そのまま向かった。

バイト中、花火大会楽しみだなぁとか

浴衣買わなきゃなぁとか

そんなことをずっと考えていた。

バイトが終わり帰宅したら、

玄関に奈菜美ちゃんの靴があった。

...今日も来てるんだ...。

私はリビングへ向かう。

リビングの前に着き、扉を開ける。

...！？

...えっ？

...今何してた...？

トミーさんが奈菜美ちゃんの頭を撫でてた...？

な、なんで...。

「あ、Aちゃんおかえり♪」

ご機嫌な奈菜美ちゃん。

「おかえり。」

いつも通りのトミーさん。

...いつも通り...なのかな...。

私は、二人を見ていると涙が出そうになり、

『た、ただいま...』

震えた声でそう言い、1人、自分のお部屋に戻った。

少し経って、奈菜美ちゃんがお部屋に来た。

「Aちゃーん。私そろそろ帰るね。」

私のお部屋をノックして言う奈菜美ちゃん。

私は扉を開けて、

『そか。』

玄関までお見送りした。

「じゃあまたね。」

『うん。気をつけて帰ってね。』

お見送りしたあと、自分のお部屋に戻ろうとしたら、

トミーさんが来て、

「なんですぐ自分の部屋に戻んの？」

私はトミーさんの顔を見れなくて、

『...勉強です。』

そう言うと、

「そっか。」

と悲しげな声で言うトミーさん。

私はそれを聞いて、自分のお部屋に戻った。

どうしてだろう...

好きなのに...

好きなのに...

もっともっともっと、

お話したい。

一緒にいたいのに...。

なんでだろう...

なんか素っ気なくしてしまう。

こんなんじゃ嫌われちゃうかな...。

その夜私は泣くのを我慢出来なくて、

少し泣いてしまった。