兄の先輩 (水溜りボンド・トミー) (ページ19)

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19.手料理ページ19

この家に住むようになって、

約1ヶ月が過ぎた。

やっぱり人って欲深くなる生き物のようで、

またトミーさんに頭ポンポンされたいなぁ

なんていつしか思うようになっていた。

今はリビングには誰もいなくて、

私は今日お休みだったので、自分の夜ご飯を作っている最中。

ちょっと作りすぎたかな...

家にはさっき帰ってきたカンタさんと、私しかいなくて、

お部屋に籠って編集していたカンタさんが、リビングへ降りてきた。

そういえば、私、

一緒に住んでるのにカンタさんとそんなにお話したことないなぁ。

『カンタさん、お疲れ様です。編集終わったんですか？』

「あともうちょいー。お腹すいたからコンビニにご飯買いに行こうと思って。」

ご飯...

『カンタさん、良ければ作りすぎたんで、私の手作りで嫌じゃなければ、食べませんか？』

「...へっ？」

カンタさんは思ってもなかったみたいで、素っ頓狂な声を出す。

『・・・』

「・・・」

少しのあいだの無言。

私はただカンタさんを見つめていた。

カンタさんはソワソワしていた。

先に口を開いたのはカンタさんだった。

「えっと、じゃあいただいてもいいかな？」

『はい。もう出来るので椅子に座って待っててください。』

言われるままに、リビングの椅子に座るカンタさん。

数分後、

『お待たせしました。』

私は出来たばかりのお料理を持ってカンタさんの前に置く。

目の前に出されたお料理を見るカンタさん。

『味は保証しませんが、お腹は満たされると思います。』

私がそう言うと、

「美味しそう...いただきます。」

と言って、パクッと食べる。

「美味しい。」

『ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。』

「お世辞じゃないよ。」

そう言って食べ進めていく。

なんか、カンタさんはクールな感じ？

んークールというか人見知りかな。

でも、少しだけど話せてよかったかな。

食べ終わり、食器を洗おうとするカンタさん。

『あ、大丈夫ですよ。私やりますんで、カンタさんお仕事の続きをどうぞ。』

私がそう言うと、

「ごめんね。ありがとう。」

と言ってお部屋に戻っていった。