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その才能を別のところに活かせばいいのに ページ12

着替えを終え、その他の身支度を済ませた後、Aがリビングへ向かうとなんとテーブルに朝食が並んでいるではないか。

キッチンには寝室を出て行った三成が立っている。
なんともシュールな画だ。


「……家政夫感が凄い」

「配偶者の間違いだろう?」


やっぱり気が早い、というツッコミは置いてとりあえず朝食をいただく。
あの短時間で作ったとは思えないほど丁寧に作り込まれた朝食に、まさか三成にこんな才能があったとはと、Aは隣でこちらをじーっと見つめる三成に対して不思議な感情を抱いた。


「うん、美味しい。料理も得意なのは意外だったよ」

「別に得意ではない。……ただ、Aのためを思って作っただけのこと」


ふっと微笑んだその顔が愛おしくて、Aは照れ隠しするように彼の頭を撫でる。
いつも身長差があって彼の髪に触れるということはほとんどない。
だからこそ、意外にもサラサラとした感触が新鮮だった。


「……なんだ。子ども扱いするな」


言葉の割には拒絶してこない。
少し照れた様子を見せて視線をずらしただけの彼に、Aはほんわかとした気持ちになる。


「ありがと」

「……ん」


三成が顔を近づけようとした瞬間、ピンポーンと玄関の方でチャイムが鳴った。


「こんな朝早く誰だろう?三成じゃあるまいし」


すっ、とAが玄関の方へ向かう。
完全にイチャつこうとしていた三成は羞恥に襲われた。


「よっ!メッセージ送っても返信来ないから来ちゃったぜ。今から勝家の家に遊びに行くんだけどさ、Aもどうだ?あ、龍の兄さんとかも来るみたいでさ」


先程のムードを知らない左近は玄関で楽しそうに話をする。
Aの背後に迫っていた三成に気がつくと、「あ、三成様もいたんっスね!」と無邪気に尋ねた。

その瞬間、先程の羞恥が左近に対する恨みへと変わる。


「去ね!死され!散れ!消えろ!」


台所にあった食塩を投げつけ、ドアを閉め、鍵とチェーンをかけたその時間僅か三秒。


「何故に食塩……」

「奴ほどタチの悪い悪霊はいない」

「三成様ひっで!俺死んでませんし!しょっぱっ、ぺっぺっ!」

世紀末みたいな顔しないでよ→←プライバシーなんて存在しない



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三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!色々重なってバタバタしていましたが最近はだいぶ落ち着いてきました。以前の更新形態に戻れるよう少しづつではありますが精進します(*´∀`*) (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» ありがとうございますm(__)m無理しない程度に頑張ります! (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - お知らせ&このコメ見ました。お悔やみ申し上げます。無理せず落ち着いてからで構いませんよ?(*^^*)その間に色んな三成さまを拝みに行ってきます!変なコメントで失礼致しました! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 三楓さん» そうだったのですね...お悔やみ申し上げます。気落ちすると色々マイナスに考えがちになってしまうので無理せず自分の好きな事をしたりしてリフレッシュしながら頑張って下さい!一読者ですが応援してます!(っ`・ω・´)っフレーフレー!!! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 63a06f166a (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!実は最近身内の不幸がありまして慌ただしくしておりました。ようやく少し落ち着き、これから心の整理のためにも物語を書きたいと思います(*´∀`*) (2020年7月1日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年5月21日 0時

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