相思違愛 ページ2
大坂城。
そこはかつて覇王・豊臣秀吉が拠点としていた城。
しかし、覇王は既に故人となっている。
現在この城の主を務めるのは、豊臣秀吉の左腕であった石田三成だ。
秀吉の敵と見なした者には一切容赦せず、例え味方であろうと他人への理解を求めない。
そんな彼は秀吉に絶大なる忠誠心を誓っていた。
主君の天下のためならばこの命を捨て石にしても惜しくは無かった。
それが失われた今、彼は復讐に生きるしかない。
豊臣秀吉を殺した徳川家康に対する復讐に。
悲しきかな。不器用な彼はそうすることでしか自分の生きる意味を見い出せなかったのだ。
復讐に駆られた彼を、人々は「
唯一、そんな彼を恐れなかった女がいた。
その女の名はA。
仕える人物の身の回りの世話をする彼女は、ある理由から三成に仕えることになった。
常に落ち着いていて、尚且つどこか包容力のある彼女を三成はいつしか心の拠り所としていた。
「刑部！私は先に行くぞ！」
とある遠征の道中、三成は配下の大谷吉継を差し置いて足早に歩く。
「急くな三成。主が足早に歩くと後ろの兵が追いつかぬ」
「だったら貴様が兵を先導しろ。その間私は先に城へ帰還する」
「かように急いだところで徳川に雑賀衆を取られた事実は覆せぬ。ヤケになる気持ちは分かるが、まずは頭を冷やして……」
「この際雑賀衆などどうでもいいッ！私は刹那にAの元へ帰りたいだけだ！きっと、城で私の帰りを今か今かと待っている。これ以上待たせるわけにはいかない」
その瞳は決して色恋に曇っているというわけではない。
主君を守れなかった悔悟が今もどこかで渦を巻いている。
二度とそのような失態をしないように、大切な人は自分の目が届くところにいて欲しいのだ。
もうこれ以上、失わないために。
「三成、悪いことは言わぬ。あの娘は止めておけ。これから徳川との戦いを望むなら、同盟国の姫を娶った方が得策よ」
「刑部、私は確かに貴様の好きにしろと言ったが、Aに関しては今後一切口出しするな」
つり上がった翡翠色の瞳が吉継に有無を言わせない。
わざわざ釘を打ったのも、それだけ純粋にAのことを想っているからだろう。
「……分かったワカッタ。我も少し世話を焼き過ぎた」
「分かればいい。世話を焼きすぎるのは貴様の悪い癖だぞ」
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三楓(プロフ) - 天智就佐さん» コメントありがとうございます！病んでる三成様を書いているといつも以上にキーボードが捗るので（笑）まだまだ頑張ります(*´∀｀*) (2020年4月4日 20時) (
レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
天智就佐(プロフ) - 更新頻度が早くて内容が神なんて尊敬します！これからも頑張ってください！ (2020年4月4日 17時) (レス) id: b2ae4e5a5c (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 霧雨ルカさん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)更新頑張ります！ (2020年3月30日 19時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
霧雨ルカ(プロフ) - 三楓さんの小説好きです！これからも頑張ってください！！応援してます！ (2020年3月30日 13時) (レス) id: 58200a85c8 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます！たまには病みかけているところから書きたいなと思いまして...（笑）自分のペースで更新頑張ります！(*´∀｀*) (2020年3月28日 21時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三楓 | 作成日時：2020年3月23日 22時
