戦闘演習4(相澤センセー) ページ8
「仕方ない。少しヒントをやるか」
悩んでいる出久たちは、相澤先生の言葉にえっと振り向いた。しかし、そこにはもう先生の姿はなかった。
「モニター、見てみろ」
轟が促すと、全員が声をあげた。
そこには全身黒ずくめの、首には灰色の布を巻いた先生がいた。
「ウソだろ!? 相澤先生、瞬間移動の個性持ってたのかよ!」
上鳴が叫ぶと、出久ははっとした。
(そうか! 相澤先生の個性は個性を消すこと。これなら力のパワーアップか区別がつく!)
Aが階段を上りドアを開くと、話に聞いていないプロヒーローの姿があって一瞬戸惑った。
「クリア条件は?」
低い声からフラッグを取ることを思いだすと、すぐにかけだした。
相澤先生の目が赤く光り髪が逆立つ。そしてAに向かって首の布を叩きつけた。
全員がモニターに集中する。
ムチのようにしなる包帯が飛んでくると、Aは減速することなくサッとよけた。布はパシンと音をならして部屋に響き渡る。
(スピードが落ちてない!?)
出久は焦った。これで力増量のウラがとれると思っていたのに……あれが地力だなんて信じられない。さらに努力しないと、負ける。しかも女子に。
でも、これで力の増幅ではないと分かった。
個性は使っているはずだ。でもどこで……。
最初からAの行動を思い返してみる。すると一つだけ、気がかりなことが見つかった。
出久がうつむいて考え込んでいる間もAと先生の攻防は続いており、Aは押されていた。
(さすがに、相手がプロヒーローではな)
今度こそ常闇は負けるだろうと踏んでいた。
……せめてでも深い傷がないように。キレイな肌を汚してほしくない。
モニター前のクラスメイトは、とにかくAの怪我が軽いものであるよう祈った。
しかし、Aはフラッグを諦めるほど弱くはなかった。
布を引いた先生に隙ができると、そのわきを通って賭けにでた。
不意をつかれた先生は逃がすかという思いで布を後方に飛ばす。
フラッグに手を伸ばした瞬間、Aの体に布が巻きつきドサリと落ちた。
「ああ! もう少しだったのに」
麗日が悔しそうに言うと周りも肩を落とした。
相澤先生がAに近づくと、フラッグがなくなっていることに気づいた。
そしてAから布をまきとると、ニヤリとした。
「……ほう」
Aの手には一本のフラッグが握られていた。
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ちづる(プロフ) - いきなりリプ失礼します。キャラクターたちの心情や常闇くんの優しさ、夢主ちゃんの考え方めちゃくちゃ好きだと思いました。続編が読みたいのが本心なのですが... (2021年5月10日 5時) (レス) id: 97693b4be7 (このIDを非表示/違反報告)
ホープローズ - 速報!本日は私、ホープローズの誕生日なのでヴィラン連合・プロヒーロー・ヒーローの卵達からの祝いの言葉を貰いたいです。お願いします。 (2019年8月23日 12時) (レス) id: 681e9ae1c6 (このIDを非表示/違反報告)
はづき(プロフ) - 常闇くん。常闇くん。ホントに好きです。大好きです。最高かよ( ˙-˙ ) (2019年7月31日 12時) (レス) id: 6ca8581b98 (このIDを非表示/違反報告)
アメジスト - んぱ(・-・)!← (2019年6月18日 22時) (レス) id: 779ef83f8c (このIDを非表示/違反報告)
響香(プロフ) - 常闇くんチョー好きです!これからも宜しくお願いします! (2019年6月12日 17時) (レス) id: b61ceed5ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蔦虎 | 作成日時:2018年4月22日 0時