アシャ ［ヒロアカ］

先生どうし ページ49

相澤先生は入ってくるとおじさんと向かい合った。体格差が際立つ｡

「お久しぶりです、先生」

(先生!?)

「そんなあいさついらねえよ。なんでそこにいた」

「……うちの生徒が大人数で、しかも制服姿で移動していたら見過ごすわけにはいきませんから、先生として」

「先生、ねぇ。うわさは聞いてるぜ。お前の除籍数すごいってな。今回はなんだ、気に入ってるのか」

「それよく言われますけど、こいつらはただヒーローとして見込みがあるだけですよ」

「いや違うな。良い子ちゃんばっかだからだろ」

　相澤先生はピクッとまゆを動かした｡

「合理性を求めるお前が除籍に走るのは、単に育てにくい奴らを受け持ちたくないからだろ｡

　雄英は、子供にとって一番良いヒーローになるための通過点だ｡

　つまりなかなかの力を持つ日本の最強っ子が入学してくる。だがそいつらは同時に無駄に、ムダーに高いプライドを持ってくる｡

　それと対するのが嫌でさっさと手を離すんだろ。『お前は無理だ』というレッテルをはってな｡

　相澤、教師は何のためにいるんだ？」

「……生徒の未来を守るため、とあなたは言いました。だから俺も、後々苦しい目に合わないように初めから守ってやったんです」

「それを周りは愛のムチと言っているようだな。お前らしい愛情表現だと｡


　初めて会った未熟な子供に愛を注げるほど、お前の心は広かったか｡


　お前は自分の教育に自信が無いだけだろ｡

　受け身の奴なら教えた通りに成長する。だがプライドが高い奴は周りの波にのまれて落ち込んだり反抗したりする｡

　先生はな、そんな奴らを奮い立たせて自分で成長できるよう促すんだよ｡

　未来を守るってのはな、あくまで成長するためのチャンスを残しておくことを言うんだ。潰してどうする｡

　その上、お前が選んだ生徒はAを障害者だからと拒絶したぞ。これからどうすんだ。除籍でもすんのか」

「……しませんよ。こいつらは変わりました。Aを一人の人として受け入れてくれると、俺は信じています」

「そうか……歯ぁくいしばれぇ!!」

　叫び声と共に相澤先生は平手打ちをくらった｡

　耐えきれずふっとんだ先生を生徒は震えながら見つめた。爆豪は跡の残るほほに触れてあの痛みを思いだした｡

　おじさんはそんな彼らに顔を向け小さく笑った｡

「本当はお前ら一人一人にやりたいぐらいだが、前にそこのトゲ頭も来たし勘弁してやるよ｡




　だから、明日から頼んだぞ」

終わり ログインすれば
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