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「はっ、えっ、あったん、炭治郎」
「どうしたんだ?そんなに吃って......どこか調子が悪いのか?」
心配そうな顔で距離を詰めてくる炭治郎。ひぇっ、近い。
というか、逆になんで炭治郎はそんなに普段と何も変わらないんだ。道の真ん中であんなに堂々と、私に愛の告白らしきものをしておいて。
いや、これが普通なのか?というかこの間のことは夢か幻か?人に、好きだなんだと言われたことが無さすぎて何も分からない。どんな顔をして炭治郎の顔を見たらいいか分からない。
「というか、此処で何をしていたんだ?誰かに用事でもあったのか?」
「え?あ......」
そうだ、本題をすっかり忘れていた。私の目的は炭治郎を避けて屋敷に潜入することでもなんでもない。胡蝶様に会って、このお手紙をお渡しすることだ。
「師匠から、頼まれて......」
「Aの師匠って......あの、蛇柱の?」
「そう。師範から、胡蝶しのぶ様に直接お渡しするよう言い付けられたの。ええと......今胡蝶様は、どちらに......」
「ああ、それなら案内するから、おいで。一緒にしのぶさんの所まで行こう」
すると炭治郎は私の手をぎゅっと握って歩き出した。ひ、ひぇ〜っ!!なんでそうなるの!?
「ば、場所っ、場所教えてくれたら一人で行けるよ!?」
「うん、それはそうだろうけど......俺が、Aと一緒に居たいんだ。駄目か?」
駄目かと聞きつつも手を離さないし、炭治郎はどんどん進んで行く。私はそれに引っ張られるがままだった。
「強く引っぱる」と書いて強引と読むが、もしかしてこの言葉を作った人間は私と同じような状況に陥ってこの言葉を編み出したのだろうか。炭治郎の、真っ直ぐな愛情表現の言葉に顔がかっと熱くなる。
「だ、だめではない、けど......」
「良かった、ありがとう。好きだA。今日も俺は、Aが好きだぞ」
「〜っ......い、意味わかんな、うわ」
炭治郎は普通に握っていた手を恋人繋ぎに変えて、歩く速度を少しだけ落とした。私を引っ張るような形から、隣に並んで歩くような格好に変えて、屋敷の中をどんどん進んで行く。
恋人繋ぎとか、初めてした。自分と違う太さの指が、私の指と指の隙間にあって落ち着かない。炭治郎の手、すごくぼろぼろだけど、やっぱり暖かい。師匠よりもごつごつしていてしっかりした手だ。どうしよう、炭治郎の手の感触がさっきよりも直接的に伝わってきて、すごくまずい。何がまずいか分からないけど、これは......
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さざんか(プロフ) - 外で思いだすだけでキュンキュンして泣きそうになります…素敵な作品をありがとうございます!新作アンケも失礼しました…! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 久しぶりに心から焦がれる素晴らしい作品に出会えて嬉しいです^ - ^本格的に冷え込む季節となりましたので、体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ.更新を心待ちにしております (2020年11月13日 0時) (レス) id: e9e3f41ae9 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、めっちゃ面白いです!!すごくキュンとしますっ/// 炭治郎の態度の急変…切ないです(泣)続き気になりすぎます…!!続編も全集中で拝読したいです(*^▽^)/★*☆♪応援しております!! (2020年11月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新大変だと思いますが、とても楽しみにしています。これからも応援していますね。新作アンケート…冨岡さん好きなので、お願いしたいです。 (2020年11月7日 6時) (レス) id: 91f917202d (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 久々にドキドキする話でした、、続き楽しみです! (2020年11月6日 20時) (レス) id: f83c25335c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年10月24日 12時