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屋敷の人に挨拶をして、血を落として下さいと言ってお金を渡した。最初は頑として受け取ろうとしなかったが、このままだと私の気が済まないのでと食い下がったら渋々受け取ってくれた。
屋敷への帰路の途中、善逸が何度も何度も神妙な面持ちで溜息をつくので、疲労が長引いてるのかと思い「どうしたの」と尋ねると、3日くらい寝ていないんじゃないかと思うほど蒼白の顔で返された。
「流れとはいえお前を押し倒したことへの後悔で胃が痛んでる」
「え、まだそれ気にしてたの」
「お前に悪いっていうのもそうだし、何より炭治郎に申し訳ないよぉ......俺、炭治郎がお前のこと好きって知ってるのにぃ......」
罪悪感で押し潰されそうー!炭治郎怒ったら怖いんだよなぁ、前なんてAと使ってる洗髪料同じで匂いが被ってただけで般若みたいな顔してたもんなぁー!でもやっぱ罪悪感が凄まじいよお〜!
安定で口数の多い善逸の隣を歩きながら、なるほどこの前善逸と同じ匂いがすると甘味処で言われたのは洗髪料のことだったのかと納得した。善逸に、Aって髪綺麗だよねーどこの染髪料使ってんの?俺くせっ毛でさぁー、なんて言われて、お気に入りの洗髪料を三回分ほど善逸に渡したのだった。
「善逸はさ、炭治郎が、その......私のこと、そういう意味で好きだったってこと前から知ってたの?」
「え?あー......なんとなく?炭治郎、お前と話してる時は心音が変わったからさ。でも、確信してる訳じゃなかったし、初めて知ったのはお前に相談されてから」
「そうなんだ......」
「あと、お前と話してると炭治郎からすぐ喧しい音が聞こえてくるから、まぁだいたい分かってたよ。あれ、嫉妬の音だったんだなー」
嫉妬。
また私がよく分からない感情の名前だ。他人を妬む気持ちというのは、まあ分からなくもないが、正直今まで生きてきた環境の中で他人を羨ましい、妬ましいと思う余裕すら無かったので、いまいちその感情を理解出来ていないのだ。
「......お前またよく分かんないって顔してんなあ」
「うん。分かんない。嫉妬ってどんな気持ち?」
「種類によるだろ。俺が可愛い女の子と所構わずいちゃいちゃしてる男を八つ裂きにしたいって気持ちと、炭治郎の、お前が他の男と喋ってるのがなんか嫌、みたいな気持ちって絶対種類違うし」
「炭治郎より善逸の気持ちの方が気になるんだけど」
いつか善逸が犯罪に手を染めてしまわないかと少し心配になった。
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さざんか(プロフ) - 外で思いだすだけでキュンキュンして泣きそうになります…素敵な作品をありがとうございます!新作アンケも失礼しました…! (2020年11月14日 0時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 久しぶりに心から焦がれる素晴らしい作品に出会えて嬉しいです^ - ^本格的に冷え込む季節となりましたので、体調にはお気をつけてお過ごし下さいませ.更新を心待ちにしております (2020年11月13日 0時) (レス) id: e9e3f41ae9 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 初めまして、めっちゃ面白いです!!すごくキュンとしますっ/// 炭治郎の態度の急変…切ないです(泣)続き気になりすぎます…!!続編も全集中で拝読したいです(*^▽^)/★*☆♪応援しております!! (2020年11月11日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新大変だと思いますが、とても楽しみにしています。これからも応援していますね。新作アンケート…冨岡さん好きなので、お願いしたいです。 (2020年11月7日 6時) (レス) id: 91f917202d (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 久々にドキドキする話でした、、続き楽しみです! (2020年11月6日 20時) (レス) id: f83c25335c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子@さぶ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2020年10月24日 12時