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部活が終わり、各々帰宅組と自主練組に散らばる中、私は真っ先に治くんの方に駆け出した。
「お、治くん」
「……なに」
いつもとは違う、ほんの少し棘を含んだ声。
最初の頃の侑くんと似た、ぶっきらぼうさ。
「な、何したら、機嫌なおしてくれる……？」
そう言うと、治くんは眉をピクリと動かして、普段はあまり表情が変わることの無い顔を不機嫌な外貌に歪めた。眉根を寄せて、唇を片側に尖らせ、あからさまに気を損ねた表情をする治くんに、何か地雷を踏んでしまったのだろうかと身構える。
「なあ、なめとんの？」
「えっ……」
不機嫌な顔のままどんどん近付いてきた治くんが怖くて後ずさると、すぐに壁に追い込まれてぐっと見下ろされた。壁ドンとは全然違う。猫が行き止まりまで鼠を追い込んだ、みたいな絵面だ、たぶん。
窮鼠猫を噛む、って無理でしょそんなの。私が怒っている治くんに噛み付けるわけが無いのだ。
「どうせ俺やったら食べ物寄越せって言うやろとか思った？何か奢ればええと思った？それ以外のこと要求されるかもとか考えへんかった？」
「お、治く、ひっ」
「……なんでそんな隙だらけなん」
治くんの、ゴツゴツした男の子の手が首元に落ちてきた。
指先がそのまま下に降りて、鎖骨の辺りに触れられると、肌が急に粟立った。
「ほんっま……あんま変なこと言うたらその内泣かすで……人がどんだけ我慢しとると思っとんねん、こっちの身にもなれや……」
さらりと凄いことを言われた気がするが、突っ込むと本当に泣かされそうなのでやめた。
「……あと、俺別にもう電話の件は怒っとらんで」
「えっ、そうなの……ずっと顔怖かったしあんまり話してくれなかったから、まだ怒ってるのかと思ってた」
「おん。話したらくっつきたなるし、くっついたらそのまんま色々しそうになるから我慢しとった」
「ﾋｮｴ……」
思わぬ爆弾発言に変な声が出た。なんなのそれ、怖い。
じゃああの顔は不機嫌とかご立腹とかじゃなくて我慢の顔なの？それにしては迫力があり過ぎるんですけど……
「だって10日も離れとってんで。ハグだけやったら足りんなる。電話したら余計会いたなるからむっちゃ我慢しとったし……」
「あ、それおんなじ」
「え？」
電話を掛けなかった理由が同じだったので、思わず声に出てしまっていた。あ、やばい。恥ずかしい。
「わ、私も……会いたくなるから電話掛けなかった」
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亜莉沙(プロフ) - すごい続きが気になる終わり方...！ (2020年12月21日 15時) (
レス) id: 363b9c8c34 (このIDを非表示/違反報告)
みやすなすー - 続き見たかったよぅっ…！ (2020年6月30日 18時) (レス) id: 22d4d41058 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず。(プロフ) - 子さんの書く夢主ちゃんと双子の掛け合いが可愛らしくて大好きです！更新楽しみにしています！お身体に気をつけてください！ (2020年4月20日 3時) (レス) id: 6fdce1ba75 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - 大好き過ぎて更新楽しみにしてます！笑 (2020年3月21日 0時) (レス) id: 0a5ad8d0ef (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - 更新お疲れ様です！私も見る専です！笑 (2020年3月20日 16時) (レス) id: 94878ef260 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：子
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時：2020年3月15日 0時
