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時雨side
「時雨はどっちが勝つと思いやす?」
二人の口論を眺めていれば、唐突な総悟の質問。もちろん答えは
「兄さん、かな」
たとえ腕が鈍っていたとしてもその経験の多さは誤魔化すことはできない。
まぁ、土方さんがどんな人生歩んできたかは知らないけど、たぶん二人の人生を人目見ただけで違いがわかると思う。
でも、どうしてか彼らはとても似ている気がする。
髪色は相反する二色で、ニートと勤労の権化。
どこからどう見ても違うのにやっぱり似ている。
身長も変わらないだろ、アレ。
「そりゃ都合のいいこった。俺が土方を抹殺する前に勝手に死んでくれるんですからねィ」
「まぁーたそんなこと言って。
好きだねー、土方さん」
※時雨ちゃんは腐った業界なんて知りません。
無意識です。
「誰があんなヤツ好きになるんでィ」
※彼は時雨ちゃんがそーいうことを知らないのを知っています。
「よォ、総悟、時雨!」
隣を見れば手を挙げてこちらへ歩み寄ってくる近藤さんの姿。
「なんでここが?」
「いやぁー、あんな派手に戦ってりゃ遠目でも分かるさ」
それもそうか。屋根の上で戦ってて気づかないあの大工さんがどうかしてるんだよ、ウン。
私たちがお喋りしている間に、二人は刀を抜いていた。まぁ、そのあと決着着くまで数十秒くらいだったけれど。
最後に一言二言交わして兄さんは屋根から降りてった。
「やっぱりね、言ったでしょ?」
「あぁ、にしても、フフ、面白ェ人だ。俺も一戦交えたくなりやしたぜ」
強者を見て奮い立つ獣、今まさに彼はそれだ。
私はと言えば特にそんなことはない。
兄さんは特に用事がない時は戦いたがらないからね。いや、用事のある戦いってなんだ。
嫌だよそんな面倒事。
「やめとけ、お前でもキツいぞ、総悟。アイツは目の前で刀合わせていても全然別のところで勝手に戦ってるよーな男なんだよ。勝ちも負けも浄も不浄も越えたところでな」
近藤さんってサラッと名言言うよね。なんなの、ねぇ。名言をいつまでたっても言えない私への当てつけですか、コノヤロー。作者仕事しろよ。
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作者名:花遥 | 作成日時:2019年10月3日 22時