70 ページ20
.
そのタバコの匂いはどちらから漂うものなのか。
さりげなくふっかさんとしょったそれぞれに鼻を向けると、その匂いの正体は、すぐに見つかる。
「なぁ、ふっかさん？」
「んー？」
「そのタバコって美味いん？」
「なに、康二も気になるお年頃になった？」
関西にいた頃から周りにタバコを吸っている人は多くて、別に嫌悪感とかはないけれど、なんとなく手は出さずにいた。
こっちに来てからもそれは変わらず。
そんな俺がタバコについて聞いてきたことが珍しくて嬉しいのか、ふっかさんはニヤニヤとしながら俺のほうを見た。
「いや、そういうわけちゃうねんけど、」
「あー、でも、これ結構癖あるやつだから好き嫌い分かれるし、オススメはしないかな」
「そーなん？そんな吸ってる人っておらんやつ？」
「んー・・・俺以外で吸ってる人、これまで3人くらいしか見たことねぇかも」
「そうなんや、」
そう話すふっかさんからは、相も変わらずその甘ったるいタバコの匂いが漂っていて、胃の奥のほうがキリキリと音を上げる。
そんな吸っている人が多くいないタバコ。
それを吸う人物が、Aの周りにそう何人もいる偶然ってあるのだろうか、なんて小さな疑問が胃の痛みとともに湧き上がってくる。
ふっかさんは、Aと高校の同級生で。
接点はなかったなんて2人は言うけれど、でもその割にやけに親しそうに昨日だって話をしていた。
それは同級生だから、と言われてしまえばそれまでなのだけれど、でもそれだけで片付けられない、ひっかかりがそこにはあるような気がした。
あの日、Aが朝帰りをした日。
Aの体から香ってきたあの匂いは、ふっかさんの吸っているタバコと同じ匂いで。
それはただの偶然で片付けてしまってもいいものなのだろうか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 403人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さーや(プロフ) - リナさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！着地地点、書いている私もどうなるんだ？？って思いながら書いていました…笑 きっとこの2人ならこういう風になるかな〜と。 (2020年6月1日 16時) (
レス) id: 4528227f28 (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - 最後めっちゃ良かったです！これ着地点どうなるんだ？ってドキドキしながら見てました！ちゃんと前向いてる感じが良いですね！良い夢見れそうです (2020年5月31日 23時) (レス) id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
さーや(プロフ) - ハロさん» ありがとうございます！書きながら着地地点どうなるんだ？？って書いてる本人がなっていますが（笑）多分切ない展開にはなるはず…！ご期待に添えるように更新頑張りますー！ (2020年5月27日 19時) (レス) id: 6178770b80 (このIDを非表示/違反報告)
ハロ(プロフ) - いつもドキドキしながら読ませてもらってます！二人とも大好きなので今後切ない展開になるかもと勝手に想像して苦しんでます（笑）さーやさんの文章は情景の描写がすごく上手でどんどん引き込まれて大好きです！これからも更新楽しみにしています！がんばってください！ (2020年5月27日 17時) (レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さーや
| 作成日時：2020年5月27日 15時
