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傷ついているところにつけ込んでくれたらどんなに楽だろう。
でも深澤さんはきっと優しい人だからそんなことはしないだろう。
そんな空気を誤魔化すようにあはは、って笑う私に「もうAさんマジでわっかんねー」なんて頭を掻く深澤さん。
その姿に少しだけ申し訳なくなったと同時に心が軽くなった気がした。
「そろそろ行きますか」
どちらかともなくそう言って、手元に残っていたウーロン茶を一気に流し込むと私たちは席を立った。
「ふっか、今度めっちゃ高いやつ食えよ？！」
「佐久間、俺がどんだけこの店に金落としてると思ってんの？」
「そーでした！！！深澤様のおかげでこの店は成り立ってるんでした！！！」
「いや、逆にそれはそれで俺が偉い奴みたいだから気不味いわ」
レジを叩く佐久間と呼ばれる店員さんと深澤さんのテンポのいい会話の横で財布を出したらすぐさま断られた。
いやでも、って食い下がっても受け取ることは許してもらえなかった。
「ありがとうございましたー」
佐久間さんのどこまでも明るくてやたらと通る声背中を押されて、私たちは店をあとにした。
「深澤さん、お金、」
「いいですよ、別に」
「やだ、初対面の人にそんな悪いことできない」
「悪いことって。たかがウーロン茶代280円ですよ？」
そう、結局私たちは他の品物をオーダーするわけでもなくウーロン茶だけを飲んで過ごした。ほんとよくよく考えると有り得ない。
「そんなの奢る奢らないのうちに入らないでしょ。それに女の子にお金出させない主義なの俺」
「…イケメンこわい、チャラい」
「またそれ？」
深澤さんがまた困ったように笑って、頭を掻く。
「見ず知らずの女の得にもならない話を280円使って聞いて。深澤さんの目当てはなんですか？」
おかげで私はスッキリ出来たわけだけど。
暗い話を聞くだけなんて深澤さんにとって決して楽しい時間だったわけじゃないはずだ。
「目当て、ですか」
「だって、深澤さんになんの得もないじゃないですか」
聖人君子じゃあるまいし、見ず知らずの愚痴を聞いて、あげく奢って(280円だけど)はいそれでじゃぁね、なんてそんな上手い話あるわけない。
「目当てってわけじゃないですけど、」
「またAさんと会える口実を作りたいな、っていう下心はあります」
「…は？」
冗談でも言ってるのかと思って、深澤さんの顔を眺めるけど、深澤さんはいたく真面目な顔をしていた。
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さーや(プロフ) - 優希さん» すみません💦教えていただきありがとうございます。修正しました。 (2021年10月30日 4時) (
レス) id: 4b2ff4c864 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - 28ページが原石のときのまま森本くんの名前が出てしまってます💦 (2021年10月29日 21時) (レス) @page28 id: 4434fac4a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さーや
| 作成日時：2021年10月26日 21時
