☆ ページ21
「たっだいまー！」
夕方、気温が下がって少し涼しくなってきた頃
雅紀たちが帰ってきた。
「あー、疲れた…
まーくん体力底なしなんだもん…」
リビングに入ってくるやいなや、カズがぐったりとソファに寝転がる。
「いやぁ、疲れたけど楽しかったよ！」
ジュンが笑ってそう言ってソファの端に座ると
すかさずカズが頭をジュンの膝に乗っけて膝枕をする。
相変わらず仲の良い2人に思わず笑ってしまった。
「いやー、泳いだ泳いだ！」
いつにも増してニッコニコの雅紀。
改めて見ると、朝とは見違えるほどの肌の黒さ…
雅紀がTシャツを脱ぐと、くっきりとTシャツ焼けをしていた。
「まーくん全然日焼け止め塗んないんだもん。」
カズがぐでっと寝転びながら、呆れたように雅紀を見る。
「その様子だと、2人は塗ったんだ。」
3人が持っていった鞄を覗くと、確かに日焼け止めのチューブが入っている。
「そりゃあ、ね？」
「焼けて痛くなるのヤだし…」
顔を見合わせる2人に、俺はやれやれと首を振る。
…どうやら、末っ子2人の方が大人だったようだ。
「ほら、これ塗っときな。」
雅紀が智くんに渡されたチューブの蓋をあけると、中からとろりとしたジェル状の液体が出てきた。
「…なに、これ？」
「ん？日焼けした後の炎症を抑えるやつ。」
確かに、智くんも智くんで真っ黒に日焼けしてる。
日焼け止めとかいちいち塗らなそうだもんな…
ちらりと隣を見ると、雅紀はおとなしくそれを塗っている。
あとで日焼けが痛くならないといいけど。
「…あーあー、ほんと真っ赤じゃん。絶対あとで痛くなるよ。」
カズが呆れたように雅紀の背中を眺めている。
「ジュンはまだしもカズは白すぎなんだよ。
もっと焼けばいいのに。」
雅紀も負けじと言い返すと、カズはむうっと口を尖らせた。
「…焼いたって痛くなるだけだもん。それに…」
そのあとが上手く聞き取れずにカズの方を向くと、ジュンがくすくす笑っている。
「なんて言ったの？」
「…何でもないっ！」
カズはいきなり飛び起きると、ずんずんと部屋に戻ってしまった。
いきなりの出来事に俺と雅紀がオロオロしてると
智くんが、カズは怒ってるんじゃないよ、と呟いた。
「自分から言って、なぁに照れてんだか。」
「へ？照れてる？」
「…カズがね、焼いてもまーくんみたいにかっこよくならないって。」
笑いながらそう言うジュンに俺たちはぽかんとして、意味を知って大笑いした。
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