☆ ページ14
「ん…」
ぼんやりとした意識の中、隣で人の気配がした。
もぞもぞと体を動かすと、ベッド脇には智くんが座っているのがわかった。
「おはよ、智くん…」
ぼんやりと呟くと、智くんは俺の方をちらりと見て苦笑いを浮かべる。
「おはよ、っていう時間でもねえけど。
昨日何時まで起きてたの？」
何度か瞬きをしてピントを合わせると、確かに朝というより昼に近い時間だった。
「んー…何時だろ。
たぶん1時は過ぎてたのかな…」
はっきりした時間は覚えてなくて首をかしげると、智くんが口を尖らせた。
「2人に勉強を教えるように頼んだのは俺だけど、あんまり無理すんなよなぁ…」
「なんか、やってるうちにおもしろくなっちゃったんだよね。本当はもっと早く寝ようと思ってたんだけど…」
えへ、と笑うと
ほどほどにするようしっかり釘を刺された。
…
「あ、おそよう翔ちゃん！」
「おそよう！」「おそよう。」
リビングに行くと雅紀とカズとジュンが遊んで(というか戯れて？)いて
俺に気づくと元気に挨拶してくれた。
「翔ちゃん、朝ごはんどうする？
もう少し待てばお昼ごはん作るけど…」
「うん、ブランチにするわ。」
ふわぁ、とあくびをするとジュンとカズが隣できゃいきゃい笑った。
「翔さん、珍しくお寝坊さんだね？」
「もうちょい寝ててもらったら、今日の勉強なしになると思ったのになあ。」
「こら、そんなこと言うのはどの口だー？」
カズのまん丸いほっぺをむにーっと引っ張ると、カズが耳を真っ赤にさせる。
ジュンが慌てて俺に縋り付いて俺の手をカズから離そうとしてきた。
もちろん怒ってないんだけど、寝起きで低い声しか出ないのが災いしたようだ。
「ごめん、ごめんってば！」
手をパッと話すと、隣で雑誌を読んでいた雅紀の後ろへと慌てて回り込むカズとジュン。
いつも余裕綽々といった様子の2人が子供らしく慌てるのがなんとなく可愛かった。
「もー、翔ちゃんからかわないのー。」
雅紀の声が飛んできて、ごめんと謝ると
カズとジュンは雅紀の後ろからおっかなびっくり俺を見つめている。
ゆっくりと近づいて、謝罪の意味も込めて可愛い弟たちの頭をぐしゃぐしゃと撫でると、2人は目をまん丸にしたあとにくすぐったそうに笑った。
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