青に春と書いてセイシュンと読む。 ページ1
大野side
「春か…」
ふわりと風が俺の頬を撫でる。
ピンクの桜の花びらが、ざあっ…と音を立てて舞い散った。
「あったかいな…」
ぽかぽかした陽気に、思わずふわーっとあくびが出る。
そんな俺を見て、翔くんが笑った。
…春は好きだ。
厳しかった冬が終わったあとの優しい季節は、全ての生き物を包み込んでくれる気がする。
「リーダーは花粉症じゃないからいいよね…
本当もう、この季節は辛いっ…！」
雅紀が鼻をぐずぐず鳴らしながら涙目で俺を見ている。
「う〜…花粉症じゃないとか羨ましい…」
潤も辛そうにティッシュで鼻をかみながら、辛そうに唸っている。
そんな2人を和が気の毒そうに見ていて、翔くんが新しいティッシュの箱の封を切った。
「ちょうど今日は天気もいいし、風もあるからな…
花粉が特に多く飛んでるのかもね。」
翔くんが窓の外を眺めて日の光に目を細めた。
「2人はなかなか外に出れないよな…智くん、買い物ついでに散歩でも行って来ようよ。」
家にいても暇だし、翔くんの誘いに乗ると
翔くんは立ち上がって準備をし始めた。
「和はどうする？」
「行かない。」
和らしい迷いのない即答で、俺は思わず笑ってしまった。
「僕は家の掃除でもしてますよ。潤くんが気の毒なんで。」
「…かずー…俺は？」
「あ、相葉さんも辛そうなんで。」
「…完っ全に付け足しじゃんかー…」
雅紀と和の掛け合いに笑ってると、翔くんが戻ってきた。
「お待たせ。智くん行こう？」
「おうよー」
返事をして立ち上がると、俺は大きく伸びをした。
「よーしっと…」
ふわり、春風が舞う。
今日はそんな日だ。
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