サキュバスですがなにか。【３】 (ページ25)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:13,789 hit

24 ページ25

僕でいいのなら別に精気なんていくらでも差し出した。
結果としては同じなんだから、別にいいじゃないかって思うかもしれない。
けど、言ってくれれば全然気持ちが違うじゃないか。

勢いよく階段を駆け上って、人の隙間を縫って、僕のクラスに辿り着いた。
さっきと同じようにたくさんの人が僕たちのクラスの出し物に並んでくれて、みんな忙しそうだった。僕も…シフトに戻らなきゃ。

「瑛一！大丈夫だったの…Aは？」

受付をしていた舞子さんが声をかけてくれる。
けど、僕は力なく微笑んで、それから教室に入っただけだった。

「瑛一、遅かったね。2人は見つかった？」
「いいんだ」
「え？」

真也くんが不思議そうに問い返してくる。
僕は切り替えるように頬を叩いて、それから持ち場に戻った。

Aさんも今の時間は係を任されている訳だから、もうすぐこのクラスに戻ってくるだろう。
どんな顔をして話せばいいんだ。
そもそも、みんなにも何て説明すればいいんだ。しようがない。

…馬鹿だな、僕。
守るだの何だの意気込んでおいて、すぐにキレる始末。
本当は別れたくないよ。けど、気持ちがぐちゃぐちゃで、咄嗟に走り出してしまった。