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「惚れ薬があれば私も直ぐにリア充になれるのかな…」


まだ初夏に入ったばかりだというのに地を這うような特有のねっとりとした空気が自身の肌を撫で回す。

すっかり夜模様を描く空に見下ろされながら長い長い自身の通う東京都立呪術高等専門学校へと続く山道を登っている最中、疲れているせいか無意識に上記の言葉を漏らしてしまった。


やばい、と脳が声を荒らげ急いで開いた口を塞ぐも時は既に遅く。

私の歩くスピードに歩幅を合わせてくれていたであろう夏油先輩が疑問そうにこちらへ視線を向けながら"惚れ薬?"とポツリと言葉を呟いた。

黒色の髪の毛を後方でお団子1つに纏めあげている、自分と同じく東京都立呪術高等専門学校に通う1つ歳上の夏油傑先輩。


自分よりも30センチ以上は高くて、180は優に超えている背丈の先輩の黒色の視線が盛大な独り言をぶちまけた私の体を突き刺しては抉っていく。

羞恥でいたたまれなくなり視線を自身の胸下まで伸びる薄いアイボリー色へと逸らすと己が着用している学生服の黒を背景に髪が月光に照らされていつもよりも透けて見えた気がした。





東京都立呪術高等専門学校と呼ばれる呪いを祓う呪術師を育てる為の学校へと通い始めて数ヶ月。生まれ育った地元を離れて寮生活を始めて数ヶ月。

そんな夏目前のとある日。


人生2回目となる尊敬してやまない呪霊操術を使う夏油傑先輩との合同任務を無事?五体満足で終わらせ夜な夜な学校へと帰宅しているそんな最中に冒頭の事件は巻き起こった。


尊敬している先輩には絶対に変なところは見せられない。そう日中ずっと気を張っていたにも関わらず最後の最後でやらかしてしまった。


生ぬるい風が汗のせいで額に張りついた髪の毛を撫で回す。
自身の心臓が緊張のあまり歪な音を奏でる。なんとかこの場を誤魔化せないかとへらりと笑みを浮かべてみた直後、




「Aは、好きな人が居るのかい?」

「んえっ!?」


予想していたものとは180度逆方向の問いかけが夏油先輩の柔らかそうな口から紡がれたせいで言葉にならない驚きの声が自身から飛び出していった。


もっとこう″うわ″とか″そうなんだ″とか、引き気味で来られるだろうと思っていた脳が拍子抜けという文字を浮かべ同時に塞がらない口を閉じろと命令を下す。
しかし横から理性が夏油先輩は優しいからそんなことを言うはずがないだろうとそれらの文字列を全て殴り飛ばした


その結果、飛び出て行った呻き声を見送ったまま口は開きっぱなしというかなり滑稽な姿を数分もの間、夏油先輩に晒してしまった。

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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑
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うさ - 続きがとても気になりますo(^o^)o (2021年7月13日 15時) (レス) id: c396716e54 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - こいみさん» コメントありがとうございます。この度は私の作品を読んでくれてありがとうございますっ!!こいみちゃんにそう言って貰えてとても嬉しいですっご期待に添えられるように頑張ります!!お付き合いの程お願い致しますっっ (2021年3月25日 12時) (レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
こいみ(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。砂ちゃんのお話が本当に大好きです。夏のお話書いてくれて、すごく嬉しいです!!更新楽しみにしてます、頑張ってください!! (2021年3月23日 23時) (レス) id: 5a5862897c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂時計 | 作成日時:2021年3月7日 19時

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