今夜もう一度君を抱く【ツイステ】

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｢…んん、っ｣


ベッドの上で座ったままの私に跨るようにのしかかるローズハートさんに自身の唇が塞がれる


触れるだけのキスなんかよりも、もっと深くもっと熱いものに心臓が暴れだす


噛み付きながら、啄む彼の柔らかな唇に弄ばれる

何度も何度も角度を変えながら離れてくれない上司に息がもたないと胸板を叩いて知らせるが全く聞き入れてくれない


その間から漏れる自身の吐息に震え上がる


遊ばれるだけなんて嫌だし
体だけの繋がりなんてもっと嫌だ

そう叫ぶ声が自身の中で弾け、飛び散る


脳裏にこびりついて消えない上司の朱色と女の子の横顔が濁り出す


なんだかんだ言ったって、鍵までして塞いで閉じ込めたとしても、彼の事が好きというこの感情はどうしたって消えないのだ


徐々に深くなるキス

同時に、自身の着ているブラウスのボタンを外し始めるローズハートさんに体が固まる

ゴツゴツとした男らしい手が自身の肌に触れた瞬間、一夜の記憶がフラッシュバックを起こす


その直後、脳内の映像と自身の感情が入り交じり、搔き乱されたせいなのか我慢をしていたはずの涙が目から一気に溢れだした


枷を失ったそれは彼に口を塞がれている状態のままの私の頬を伝って落ちていく


私の泣き声すら飲み込んでいくローズハートさんは流れ落ちる涙を見た瞬間、顔を歪ませながらやっと自身の口を解放して離れてくれた



｢うぅ…ひっ…ぐ…っ｣

｢…そんなに嫌なのかい｣


ベッドの上に座り込む自身の頬に涙が伝う

少しだけ間はあるがそれでも至近距離にある上司の朱色の髪の毛が揺れ動く

口から溢れないように必死に抑え込むが漏れでる泣き声にローズハートさんが歪んだ表情のまま言葉を吐き捨てた


嫌なのか
嫌に決まってるじゃないか


好きな人にとってただの遊ぶためだけの都合の良い女になりたいわけないだろう


喉の奥で引っかかった言葉が自身の体の中へと沈んでいく

言葉にならない声と涙が溢れてとどまることを知らないみたいだと脳が呟く


溢れでる涙を拭いながら目の前に座るローズハートさんの足の間に収まる体を見下ろす

そして、



｢ローズ、ハート…さ、んっの…っんこ、とが…っ｣


好きだから遊ばれるだけの関係なんて嫌なんだ
愛のない遊びの付き合いなんてしたくない


と、付け加えるようにしゃくりあげる中、自身の感情が文字となり口から吐き出される


それを見た瞬間、ローズハートさんの灰色の目がこれでもかというぐらい見開かれた

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