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「…Aちゃん。ローズハートさんを避けてるの?」


「え…!?避けてはないですけど…っ」


「…そう??」


なら、勘違いかな?

なんて、お弁当の中にある玉子焼きを口に含みながら首を傾げる5歳上の女性魔法医術師の先輩が言葉を付け加える


壁に立て掛けられた時計が時間を刻むために忙しくなく働いているのを横目に先輩の言葉に頷きを返す


隣に座る彼女の着用している自分のものと同色の薄いピンク色のスクラブが目に写った




「まあ、何かあったら相談に乗るからね」


口にご飯を詰め込み咀嚼し終えた先輩が柔らかな笑みと言葉を残す

彼女の艶やかな髪の毛が揺れ動く
心地の良い声色に胸の奥が温かさを覚える


ここの病院の先輩方、上司は本当に凄い魔法医術師達なんだとその偉大さを改めて感じた


昨日の事があるせいか、ローズハートさんの顔がまともに見れていなかったのは事実である


仕事とプライベートはきちんとわけて感情にも境界線をつけて動いていたつもりなのにやはりどこがでその区切りに歪みがでていたのかもしれない


そんな私は、午前中、ローズハートさんと一緒に行動をしていた

いつも通り、淡々と診察をしてカルテを書き、たまに処置を施す


最中に彼も私も仕事に対して私情は挟まない人種のためなのか、昨日の事柄について触れる会話も雰囲気も存在はしなかった


まあ、休憩時間など仕事外の時にはこれでもかというぐらい関わらないようにさり気なく逃げてはいたのだが、

それが逆に先輩の目から見たら変に緊張感があってギスギスしていた空間に見えたらしい


まだまだ、駄目だな、と脳が声を吐き出し
しっかりしなさい、と、自身を叱咤する



私のローズハートさんへ向けるこの感情はきっと、異性に対しての好きになるんだと思う


魔法医術師として厳しくそれ故に優しい。

そんな、彼だからたぶん惹かれてしまったのだろう

気持ちに気づいた瞬間、失恋だなんて中々シビアな事だと自傷気味に言葉を脳が吐き捨てる


ぬるくなったカップを片手に持ちながら朱色を思い出してはそれに蓋をする

じくじくと痛みを訴える胸を必死に押し込みながら先輩に笑みを返す




この感情があるから昨日、ローズハートさんが女の子と歩いていたことにショックを受けたのだろうと、答えを導き出す




たった、一夜の関係から始まる恋って本当にあるんだ


誰にも聞こえることの無いその言葉が体の中へと零れおちた

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砂時計(プロフ) - 葵さん» 初めまして!コメントくださりありがとうございます!!可愛いですよねっ、描いてくださった友人のイラストを褒めてくださりありがとうございます!リドルさんの素敵なところをお届けできるように頑張って書いたのでそう言って頂けて嬉しいですっ!! (2021年7月23日 12時) (レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - チーズ鍋さん» この度はお返事が遅くなってしまいすみませんっ私のお話を読んでくださりありがとうございます。私なりに綺麗な世界観を見せたいと思っていたのでそのようにお褒めいただけて本当に嬉しいですっ!!本当にありがとうございましたっ。 (2021年7月23日 12時) (レス) id: 3e29fdde61 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - うおおおおぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!かわぇぇえええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………うるさいですよね。すみませんでした。ほんとリドル君スキッ! (2021年7月19日 15時) (レス) id: 4534ab9975 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 言葉選びが素晴らしく、本当に綺麗な文章でした。話の内容も面白く、しかも読みやすいので一気読みしてしまいました。この作品と出会えて良かったです。ありがとうございました。 (2020年10月16日 22時) (レス) id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - バカさん» この作品を最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!!初めてに私の作品を選んでいただけて大変嬉しく思います(><)お褒めの言葉本当に感激ですっっ!!他の作品でも貴方様にお会い出来ることを願っております(;_;)!本当にありがとうございます!! (2020年9月23日 1時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂時計 | 作成日時:2020年8月18日 3時

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