WILD DOCTORS 16

遭遇 ページ36

病院はいつも混雑。
お昼前会計は大忙し。
外来患者さんが一段落する時間だから。
新患の受付も終わる。

内科の外来、受付にゆきちゃんの姿は無かった。

「あの、岩田ゆきさんをお願いします。」

「本日は受付終了してますよ。」

「患者では無いんです。
知り合いです。」

もう、知らない人も多い。
少し前まで働いてたのにな…。
月日の流れは早い。

「あれ？月ちゃん！」

ゆきちゃん少し痩せた。
やっぱりつらいんだ。

「食べれないかもだけど、おやつ作ってきた。」

「わぁ、見る見る。
あ、あっちの机のとこ行こう。」

ゆきちゃんは早速箱の中を見て、かわいいと言ってくれた。

「よく冷やして食べてみて、甘さは控えてあるから入るかも。」

「ありがとう。
剛典に全部食べられないようにするね。」

「その後岩田先生は？
大切にしてもらってる？」

「うん、よくお手伝いしてくれるし、お散歩も付き合ってくれる。
基本仲良しだもん(ﾉ´∀｀*)」

「良かった。
女子会の意味あったね(^^)」

「月ちゃんお昼は？」

「今から将ちゃんと約束してる。」

ゆきちゃんにバイバイして、将ちゃんのお部屋に向かう途中、売店に寄り道した。

あ、あの子だ。
隠れなきゃって隠れなくてもいいのか。
松葉杖そろそろ両足ついてもいい頃なのに…。

約束の時間あるから、いるもの買って早く行こう。

「あれ？月子先生ちゃう？」

「あ、山下先生。
ご無沙汰してます。」

「診察やった？
今将吉部屋帰ったで。」

あ…言っちゃだめ…なん…だけど…。

慌てて美咲さんの方を見たら…じっとこっちを見てた。
わかっちゃった…よね？

「俺連れてったるよ。
何買うの？」

買い物をしてる間に帰ってしまったみたいで、店を出る頃にはもう美咲さんはいなかった。

山下先生に罪はない。
知らないんだから。
部屋まで連れて行ってくれた。

「(ﾟДﾟ)え、美咲に？」

「うん、山下先生は悪くないんだよ。」

「なんでまっすぐここに来ないの？
何かあったらどーすんだよ。」

「ごめんね。」

「月のせいじゃないけど…自分の体の事わかってるよね？
逃げようとしても遅いんだよ。」

「…ごめんね。
買いたい物があって…中々ひとりで外出ないから…ついつい。」

「欲しい物あったら言えって言ってるだろ。
まぁ、何も無かったからいい。
通院とか気をつけて。
送るからいいけど。」

…怒られちゃった。
言えって言うけど…言いづらい物だってあるし…見てるだけでも楽しいんだもん…。

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