WILD DOCTORＳ

虐待？ ページ5

「あ、ケンチ〜今夜飯行こ。」
「やだね、外科医と約束なんて、
ドタキャン確実だからな。」

哲也は膨れっ面。
だけど外科医は緊急呼出当たり前なんだから仕方ない。
ドタキャンならいいけど、途中で帰られるとおひとりさまになってしまう。

「明日、オペだろ？例の。」
「うん、だからあまり早く寝ると
　寝過ぎで体調崩すからさ。」

注目度の高いオペには取材や見学が入る。
院長はそれを受ける。
益々患者は増える。

医師としてはそういうのを好まない
医師もいる。
哲也もそのタイプ。
気が散りがちなのとその後の記者会見が大嫌い。
でも、院長命令、仕方ない。

他の病院よりもかなりいいお給料もらってるんで、ここの医師達。
だけどそれに見合うだけの技術持ってるからね。

「あ゛、ラブコールだ。」

ジャケットのポケットからスマホを出すと病院から。

「人のこと言えねーだろが。」

哲也が文句を言ってる。

「先生、本日小児科の黒木先生からの
患者様で、空飛(そら)君が
暴れてます。
　来ていただけますか？」
「了解、10分頂戴。」

時計を見て言うと、哲也も時計を見てる。

「早く行け。」
「悪いな、明日のオベ見るよ。」

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

「レントゲンとCTは？」

画面に出た画像を見た…。

「内臓…行ってるな。」
「はい、拳で殴られたんじゃ
　ないかと…痛そうにしてるのに
　痛くないって言い張って…。」
「付き添いは？」
「母親です、もう一人連れて。
　そちらは異常なさそうです。」

「一晩みますか？」
「だな。頼んでいいか？」
「はい。」

大樹、お手柄かも。
あれは多分殴られたからだ。
外部から見ても痣が多いし、不自然な傷もある。

「寺辻先生に連絡して小児で頼めるか
確認して。
　今の患者さん、午後最終予約。」

「外来に戻るよ〜」

手をきれいに洗い、消毒して診察のイスに座る。

「お、けんたか、咳出ちゃったか。
　お母さんいつから？」

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