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絵本 ページ6

「じゃあ、絵本についての説明でもするか」
と、瑠衣はエアリナがずっと見ていた絵本を持って、前に座った。
絵本のタイトルは、『妖精と人間界』。

「この絵本はね、妖精の主人公が、人間の世界で暮らすお話しなの」
と、瑠衣が言っている途中で、少し体制を変えたエアリナ。
いつもは澄んでいる翡翠色の瞳は、今日は少しだけ動揺が走っているように見える。


私がエアリナを機にかけている時にも、瑠衣の説明は続いている。
菜津も、エアリナの様子に気が付いていないみたい。
私の勘違いならいいな、と思っている自分がいた。

「妖精はね、人間と同じように暮らしているの。
でも、運動が苦手なの。代わりに、予知能力のようなものを持っているんだ」
予知能力か……。占い師みたいだ。


「その妖精は、ずっと人間と混じって生活をしていた。
だけど、ある日、疑問が生まれたんだ。
『何で、自分は人間と一緒に暮らしていて、他の妖精たちとは一緒に暮らしていないのか』って」
あ、言われてみれば、確かにそうだ。
自分とは、全く違う種族の人と生活をしている、不自然な環境。

「あ……」
小さな声が、隣から聞こえた。エアリナだ。
「ん?どうかした、エアリナ」
流石に、菜津と瑠衣も気が付いたみたいだ。
だけど、エアリナは
「……ううん、何でもないよ!瑠衣、続きを聞かせて!」
とにっこり微笑んで言う。
でも、いつもと違うよ、エアリナ……。


「妖精は、その後も普通に暮らしていた。
それから数週間後、妖精のもとに、不思議な手紙が来た。
『町はずれにある、精霊の塔に向かえ』。
手紙には、その一文だけが書かれていた。差出人はわからなかった。
でも、その妖精は精霊の塔に向かった。たった一人で。誰にも言わずに」

*→←夜、ダウン寸前



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桜雪☆(プロフ) - 奈月さん» コメントありがとうございます! (2018年6月10日 17時) (レス) id: 7ff7ae767b (このIDを非表示/違反報告)
奈月(プロフ) - エアリナの考えってすごい。素直にそう思いました。続きが楽しみです(*^^*) (2018年6月9日 14時) (レス) id: b8b2585ba0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜雪☆ | 作成日時:2017年11月5日 9時

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