自分の道だから ページ16
それまで、私たちの言葉を黙って受け止めていたエアリナは
「ごめんね、ちょっと風に当たってくる」
と言い、ベランダに行った。
私は、エアリナの後を追いかけようとして立ち上がった。
でもすぐに、今はダメだと考え直して座る。
菜津が、
「わかっているの、でも止めたい。……ダメだけど」
ショックからか、驚きからかはわからないが、言いたいことが伝わりにくい。
瑠衣はただ、下を向いていた。
私は、
「でも、エアリナ自身が決めた。自分の道」
「どうしたの、梨々花？」
「そ、それはわかってるよ。でも、エアリナが犠牲にならなきゃいけないなんてありえない！」
強く言う菜津に、私は諭すように
「自分の道。人生だから。ちゃんと自分で考えた。だから……」
それ以上、言葉が出てこない。
しばらく黙って、それぞれ考え事をしていると
「ごめんね、急に外に行って」
と言いながら、エアリナが戻ってきた。
「あのね、聞いてほしいの」
真剣な顔をして、土下座までするエアリナに、私たちはそろって頷く。
「何て言うかさ、決まってるとか、守らなきゃいけないとか、そういうの考えたくないの。
本当はね、梨々花たちがわたしを引き留めようとしたとき、私もそれに応えたかった。
でも、やっぱりそれじゃあ、自分の都合で多くの、下手したらすべてを失う。
だから、自分の命と引き換えでいい。みんなを守って、笑っていてほしいの」
エアリナは、私たちに何かを言わせる間を与えずに一気に言った。
私は何と言えばいいのだろうか。
ただ、わかった、というだけでは後で絶対に後悔する。
だけど、かけるべき言葉が見つからない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜雪☆(プロフ) - 奈月さん» コメントありがとうございます！ (2018年6月10日 17時) (
レス) id: 7ff7ae767b (このIDを非表示/違反報告)
奈月(プロフ) - エアリナの考えってすごい。素直にそう思いました。続きが楽しみです(*^^*) (2018年6月9日 14時) (レス) id: b8b2585ba0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜雪☆ | 作成日時：2017年11月5日 9時
