かけがえのある世界。【灼熱カバディ】 (ページ2)

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スポーツは、別に好きでも嫌いでもない。

4月。東京都。

私立能京高等学校。

旧体育館。

「先輩！ヨイゴシ来ました！」

畦道くんの声が聞こえて私は扉の方に目を向ける。

おお、実物身長高い…

「ん…あーっ宵越だー！！」

水澄くんが声を上げる。

「背、高いな185位か？」

「サッカー誌の写真よりカックイイじゃん」

水澄くんと伊達くんは息を切らせながら宵越くんに近寄る。

「筋肉、薄いな75kg位か」

この部活の人達、なんか距離感近いよね…

「オ…オイ！！」

「サッカー選手だもんなぁ」

「蹴りすごかったっすよ蹴り！！」

私は苦笑いしながらその光景を見つめてしまう。

「ええい寄るなガチムチ共！！」

そう言い、宵越くんは2人を押す。

「なんだよ、仲良くしよーぜ。これから同じ部活やんだし…」

「やらん！！俺は好きで来た訳じゃ」

「おーい、いきなり失礼だぞお前ら！」

そこで井浦が入ってくる。

「悪いね、宵越くん。有名人に会えてみんな舞い上がってんだ。
俺はカバディ部副部長の井浦。よろしくね」

「副部長？」

「悪いね、いきなり1年生使いに出しちゃって…
俺が行くべきだったんだけど、部長が入院して忙しくてさ…」

井浦は宵越くんに人当たりのいい笑顔を向ける。

「紹介するよ。あそこの2人が2年の…」

「紹介はいい。話がある」

宵越くんはそう言って井浦をぐいっ、と引っ張る。

2人は何やら話を始めた。

パソコンを出して話しているが、遠くて余り聞こえない。

私は話を聞くためにそそくさと2人の方へ寄る。

「何話してんすかパソコン何か出して…」

すると、畦道くんたちも気になったようで一緒に近寄ってきた。

「いやぁあのね…」

「まッ、待て！！わかった！！きょっ…今日だけなら…」

宵越くんの同意に私は思わずばっと前に出てしまう。

「宵越くん、カバディやってくれるの！？」

多分井浦に何か言われたんだろうけど、こういうのはきっかけが大事！

「お、女…？！」

宵越くんは少し後退しながら私を見てそう言った。

「私、マネージャーの比羅川です。よろしく」

そう言うと宵越くんは「こんなマイナースポーツの部活にマネージャーがいるなんて」と言うような顔になった。