【鬼滅の刃】闇柱は闇を背負う【時透無一郎】

陸 ページ8

「俺が...こんな小娘にぃ...！！」



そう嘆いた鬼だったが、あることに気付く。



「(痛みが、ない...？)」



斬られた頸に、切り離された身体に、痛みを感じないのだ。


それだけではない。

本来、身体を日輪刀に斬られた場合、

斬られたところから灰になって消えていくはず。


しかし鬼の身体は、小さな光の粒となって天へと登っていく。



『...次は、幸せな生活を送れるといいわね』



Aの言葉を聞いた鬼は、目を見開いた。

その目から一粒、二粒と涙がこぼれ落ちる。


鬼は安らかな気持ちで、その場から姿を消した。


全て消えると、Aの首にズキズキと激痛が走り、

思わず首を抑えて地面に膝を付く。


これが、Aが非番の日に自主的に鬼を狩りに出る理由だった。


光の呼吸は雷の呼吸の派生で、鬼を痛みなく安らかな気持ちのままあの世へ送るもの。

父から受け継ぎ、今この呼吸を使えるのはAただ一人だった。


しかし、それは完成ではない。

鬼を痛みなく安らかな気持ちのままあの世へ送る、それは出来ている。

その頸を斬った時の激痛が、Aに襲い掛かるのだ。


それをなくし光の呼吸を完成させる為、非番の日はこうやって鬼を狩りに来ている。


ある程度痛みが引いて来たところで、Aはフラフラと立ち上がった。



貴『(早く...次の鬼を...)』



息が荒いまま、Aは次の鬼を斬る。

そして痛みが引くまで待ち、また斬る...それの繰り返しだ。


任務の時は闇の呼吸で傷を負い、非番の日も光の呼吸を完成させる為、身体に負担をかける。

身体を休ませる暇がないため、Aの身体はボロボロだった。


しかし、Aは辞めない。

それは全て、己を強くするため。

そして、鬼舞辻無惨を倒すため。


そのために、Aは毎日鬼を斬る。

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