どうしよう、これ【歌い手】

episode18 ページ20

Aside

ピピピピ、ピピピピ、という無機質な音を出す目覚まし時計を手探りで止めて、目を開ける。時計を見ると6時。

そうだ、今日は会社に行かなくちゃ。

ベッドから起き上がって、ドアを開けると、ちょうど真冬くんが部屋から出てくるところだった。

｢おはよう｣

と言うと、

｢ん…おはよう…｣

と眠そうに目をこすりながら言う。可愛い。

身支度を整えて、朝ごはんを食べる。

今日のメニューはご飯、ワカメの味噌汁、目玉焼き、納豆、味付き海苔。

我ながらバランスのとれた朝ごはんじゃないかと思う。

｢いただきます｣

と2人で挨拶をして食べる。…うん、今日もお味噌汁の出汁は上手くとれてるし、目玉焼きも半熟。完璧。

｢…今日は、何時に帰ってくる？｣

おずおずと尋ねられた。

｢午後6時くらいには帰って来れるよ｣

と言うと、

｢そっかー｣

と返される。そして、

｢…なるべく早く帰ってきてくれると、その、嬉しい｣

と若干下を向きつつ付け足す真冬くん。何だこの可愛い生き物は。

｢分かったよ、なるべく早く帰ってくるね｣

と返したが、どうしても口元が緩んでしまう。

だって真冬くんが可愛いから。

ていうかこれ同棲したてのカレカノとかこういう会話してそう。

あっという間に会社に行く時間になってしまって、
玄関でウィンドブレーカーをスーツの上に着て、ヒールを履く。

鞄の中身をもう一度確かめて、鍵を持って、

｢行ってきます｣

と真冬くんの顔を見て微笑んでいえば、

｢行ってらっしゃい｣

と微笑んで返してくれる。

玄関のドアを閉めて鍵を掛けながら、ストーカーを捕まえたら真冬くんは帰っちゃうんだよな、なんて考えた。

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｢タッピオカータッピオカー｣ルンルン96猫さん

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