107.あゝ、アラバスタ！ (無意識のズルさ 3) ページ12
「ビビー！ 呼んだ？」
「あ、Aさん！ Aさんもこれを着て」
私を呼ぶ声がしたので、ビビの元へと行けば手渡される1枚のコート。
たぶん砂漠を越える為のものだろう。
日中の砂漠の陽射しから、または夜の外気から身を守る為に必要なものらしい。
そんな事を以前、文献で読んだことがある。
「ありがとう」
ビビからコートを受け取り袖を通そうとした瞬間、「Aちゃんまで、それを着ないでくれー‼」と思い切りサンジに抱きつかれる。
「きゃあぁぁぁ〜！」
あまりにも急特急で体に巻きつかれた為、思わず悲鳴が出てしまったことは許してほしい。
そんな私の悲鳴を聞いてか聞かないか、ものすごい勢いで駆けつけてきたこの2人。
「なにやってんだ‼ テメェは！ マジで叩き斬るぞ‼」
「……燃やすか？」
「ああ、骨一つ残すな！」
物騒なことこの上ないーー
「まあまあ、ゾロもエースも落ち着いて」
未だに私にくっついたままのサンジにも「もうそろそろ離れようね」と、声をかけとりあえずこの場を収める努力をする。
「お前も甘い顔すんな！ このグルまゆがつけあがるだけだぞ」
「ぁ"あ"？ 誰がグルまゆだと？ このクソマリモ！」
だが……
一向に収まる気配がない。
ーーどうしよう
う〜ん……と、小さく唸ってみればいつのまにか隣に立っていたエースと目が合う。お互いに顔を見合わせた後、私は困ったような愛想笑いを浮かべた。
エースは「ほっとけよ」なんて、クククッと笑いを噛み殺しながら言っていたが、そういう訳にもいかないよね？
なーんて、思っていたのもつかの間。
2人のよく分からない争いはいきなり終止符をうつ。
結果から言えばーー
いや、過程などないくらい単純だ。
ようはナミのお怒りが彼らに炸裂し、その場が丸く収まった。
「あんた達いい加減にしなさいよ！ もう着くんだからとっとと上陸の準備‼」
そして、彼らにだけではなく私にも怒りの矛先は向いてくる。
「Aもー！ いつまでもコイツら甘やかさないでたまにはビシッと言ってやりなさいよ！ まったく……」
腕を組み、小さくため息をつきながら流し目でこちらを睨んでいるナミに申し訳なさがつのる。
「ごめん……気をつける」
「まぁ、そこがあんたらしさでもあるんだけどね」
ピン！ と、軽くデコピンをされてしまったが、「まったくもう」と言いながら悪戯ぽく笑うナミの顔は、女の私から見てもとても魅力的なものだった。
108.あゝ、アラバスタ！ (国の悲哀)→←106.あゝ、アラバスタ！ (無意識のズルさ 2)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 561人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» ありがとうございます！よろしくお願いします^ ^ (2021年5月2日 18時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 返信ありがとうございます！また更新してくださって嬉しいです！これからも応援しております。 (2021年5月1日 18時) (レス) id: 7e246103d6 (このIDを非表示/違反報告)
奏(Kanade)(プロフ) - アリスさん» 初めまして！コメントの返信が遅くなってすみません。連載この連休で少し進める予定です。アリスさんにこの連載を好きと言っていただけて、すごく嬉しいです！頑張る気力が湧いてきました笑(^^) (2021年4月29日 14時) (レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 奏さん初めまして！いつもこの作品を楽しく拝見させていただいております。この作品はもう更新しないのでしょうか？私はこの作品が凄い好きなので、良ければまた更新再開して欲しいです！ご検討よろしくお願い致します。 (2021年4月6日 18時) (レス) id: d582cbc40a (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑炭酸(プロフ) - 夢主愛され最高ですよね！！ お悩み中なのですね！救済していただけると私はすごく嬉しいですが死んだとしても奏様のこの作品大好きです！これからも応援してます！ (2021年1月16日 18時) (レス) id: 72cb3f7599 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏 | 作成日時：2019年9月25日 19時
