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ー業sideー
Aの双子の片割れと名乗る者。俺はどうしてもこいつを信用することができなかった。出会って数分で信用しろというのも無理な話だけど、そういうのとは違う。
こいつは俺の名前を知っていた。そして砂糖が欲しいとAに要求した後すぐに容器を持ったこいつが部屋に入ってきた。
心の中を全て見透かされている感覚に陥れられる。不快だ。
こいつは俺のコーヒーカップに角砂糖を2ついれた。もしかして俺が普段珈琲に入れる角砂糖の数を把握していたのか。それは考えすぎ?どっちにせよ簡単に気を許してはいけない。
「いいな。私も学校通ってみたかった」
『アリスも通えばいいのに!そしたらもっと賑やかになって楽しくなるよ!!』
乗り気のAにマジかと失笑する。
「きっと無理ね。私にはこの生活が一番お似合いなのよ」
『そんなことないと思うけどなぁ』
「…業くん。よく警戒心が足りないって言われない?」
目を細めて笑うあいつ。わずかに開いた瞼から赫眼がちらついている。
「言われたことはないけど…」
どちらかというと警戒心は強い方だと思ってったんだけど。と、どぎまぎする。
「Aが喰種だって知ってるんでしょ?いつ殺されても文句は言えない状況下に置かれているのにこうやって2人きりで遊ぶなんて。ましてや家に来るなんて警戒心なさすぎよ」
あり得ないとでも言いたげな顔で首を横に振るあいつ。
「Aは俺らを殺さない」
「まぁ。すごい自信ね」
「そりゃあ、俺らは信用しあって信頼しあってるから」
お前とAは違う。他の喰種とAも違う。そういう意味を込めて言ったのにあいつはにやけた。そしてチラとAを見やる。Aは気まずそうに目をそらした。
俺は訳がわからず頭上にクエスチョンマークを浮かべることしかできない。
「すごく素敵ね。知らぬが仏って感じ」
「何が?」
「なんでもないわ」
「そんなことより」とあいつは話を変える。
「業くんはどうしてここに?Aに誘われたの?」
「うん、まぁ」
「ふぅん。そう」
自分で聞いておいてそっけない返事だなと思った。
「何かを知りたくて来た訳じゃないのね」
「知りたいことがいくらでもあるよ。実際ここに来たのも、もしかしたら何かわかるかもしれないと思ったから。そう簡単にはいかないみたいだけど」
Aは俺らの会話を聞いているのかいないのか、スマホの画面をじっと見ていた。
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eye(プロフ) - 名倉さん» ありがとうございます!夢主ちゃんの複雑な感情が伝わってよかったです。更新頑張ります! (2019年5月25日 0時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
名倉 - part7おめでたうです! 真相が明らかになっていく...! 夢主ちゃんの感情がひしひしと...こう、ひしひしと伝わってきて、すごいなぁと思います。eyeさんのペースで更新頑張ってください! (2019年5月24日 22時) (レス) id: c1e6d1df23 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - よつぎさん» ありがとうございます!なかなか物語が進まず申し訳ないです…!完結目指して頑張ります!! (2019年5月20日 1時) (レス) id: 7f970af50c (このIDを非表示/違反報告)
よつぎ(プロフ) - いつも、楽しみに読ませてもらってます!Part7でも、更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月20日 0時) (レス) id: 1767016ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:eye | 作成日時:2019年5月19日 22時