弐拾ノ怪 人は弱いけど強い ページ22
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そんなハクジョーダイに反応した花子さんは、険しい表情をした。
私から離れた花子さんは、ハクジョーダイを側に寄せて何かを聞いている様だ。
…あれって話せんの?
声とか出てなくね?
私、善逸程じゃないけどそれなりに耳良い方よ?なのに聞こえんて…やっぱ怪異だから?
こんな念珠も付けられて…怪異、鬼と同じくらい侮れん。
「ヒモリ、行くよ」
「え。行くって何処に…」
「ヤシロがちょっとピンチみたい」
寧々が?
え、もう帰ってんじゃなかったの?まだ学校に居たのあの子。
ピンチって……やばいじゃん?
私は持っていた掃除道具を放って、花子さんと女子トイレを出て、駆け出した。
そうして辿り着いたのは、同じ旧校舎の二階。
すると廊下の奥の方に寧々が座り込み、そんな彼女に襲い掛かろうとするぐにゃりとした巨大な怪異が居た。
恐怖のせいだろう、寧々はそこから動けずに震えていた。
私の前世は鬼殺隊だ。
しかも速さでは一、二を争う程。
だから_______私なら間に合う。
花子さんに呼ばれた気がしたが、気にせずに走り出した私は、数秒で彼女の元に辿り着く。
けれど寧々を抱えて怪異の攻撃を避けるには、少し間に合わない。
そう判断した私は庇う様に怪異に背を向け、寧々を抱き締める。
背中に襲う筈の痛みを覚悟して。
だが、そんな覚悟は必要なかったらしい。
「蹴散らせっ白状代!!」
花子さんの鋭い声が聞こえた。
そんな花子さんの声に応える様に、ハクジョーダイは巨大な怪異にボッと勢いよく体当たりを喰らわした。
それをモロに喰らった怪異は、ボロボロと崩れていく。
…ハクジョーダイ、強くね?
いや、マジ感謝。ありがとう、ハクジョーダイ。今度お礼させて。…口ある?
とりあえず寧々が無事でなによりです。
「ヤシロはすーぐイケメンと怪異に引っ掛かるよね。ダメだよ、気を付けなくっちゃ」
そう言いながらこちらに近付き、にこっと笑いながらその場にしゃがむ。
「ヒトなんてカンタンに死んじゃうんだからさ」
その言葉はずしりと私の心に入って来た。
人間はとても弱く脆い。
でも、大切な人の為なら人は何よりも強くなれる事を私は知っている。
「…ヒモリも」
「んぇ?私?」
「勝手な行動は控える事!…でーも」
花子さんは腕を上げ、私の頭を撫でた。
「よく頑張ったね」
……何これ恥ずい。
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なな(プロフ) - こういう話大好き!!続き楽しみにしてます! (10月24日 15時) (レス) @page30 id: fe31627149 (このIDを非表示/違反報告)
chisa - キメツ学園と地縛少年花子くんのコラボ、面白かったです。更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください応援してます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page31 id: c8930b3d1a (このIDを非表示/違反報告)
ふわにゃん - とっても面白いです!続き楽しみにしていますね! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 0abe5ea8a5 (このIDを非表示/違反報告)
水無月梅雨 - 犬夜叉要素があって、ものすごく笑いました!これからも頑張ってください!!! (2020年7月5日 12時) (レス) id: 82fc76c663 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - 犬夜叉の要素があったりしてめちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます!!! (2020年7月2日 21時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年3月27日 14時