拾伍ノ怪 人間を甘く見るな ページ17
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いや、戦いって程のものでもないな。
喧嘩…そう、ただの喧嘩!相手は人でも鬼でもない、怪異の自称人魚だけど。
どっちにしろ、久々の戦闘って事になるよね、これ。
けどま、
「一瞬で終わらせてやる」
《ごちゃごちゃ何を言っておる!ニンゲンの小娘如きが!》
《A!!》
「おっと」
軽く準備体操をしていると、人魚が大きなヒレをこちらに振り下ろす。が、私はそれを難なく避ける。
鬼よりも断然速さが遅い、遅過ぎる。
ひょいひょいと飛んで避けながら、準備体操をする。
前世と変わらず鈍っていなかった自分の動き。
それを確かめられただけでもよしとする。
てか遅過ぎるから、いや何これおっそ。
あんたやっぱ人魚じゃないでしょ。やっぱ自称なんでしょ。
ヒレを振り下ろすのに何秒かかってんの?
自分の動きも確かめられたし、もうそろそろいっか。
今世の自分には愛刀の日輪刀はない。
この人魚を斬る必要さえないのだが、やはりあるのと無いのでは違う。
だからと言って体術に自信がない訳でもない。
《ちょこまかと…!》
「ねー、自称人魚さん。このまま帰ってくれたら痛い目見ずに済むけど…」
《何を言っている!妾はその僕を迎えに来たのだ!それにニンゲン如き…!》
「あっそう?んじゃ遠慮なく」
その返事を聞いた瞬間、私は側の机の上に立ち、そのまま机を蹴って宙を舞った。
そして私が跳んだ先は丁度人魚の真上。
驚いた顔をした寧々達が見えた。
人魚は私が消えたと思ったらしく、焦りながらキョロキョロと忙しなく辺りを見渡していた。
元鬼殺隊の身体能力を舐めないで頂きたい。
何処見てるのかなこの自称人魚さんは。
私は今あんたの真上に居るって言うのに…。
本当に千年生きてたの?
まあ、でも
人間を甘く見たこと、後悔させてやる。
「そんまま手ぶらで帰りやがれ、自称人魚さん!」
《な、に……グフォッ!》
空中で一回転し体制を変え、人魚の首元と思われる場所にドゴォッと踵落としを喰らわせる。
すると、人魚は自分が出て来た黒い渦に勢いよくバシャアンッと頭をぶつけ、ぶくぶくと気泡を零しながら姿を消した。
はー、弱かった。
まさかの一発KOかよ。
スタッと華麗に着地した私は、見ていた二人に駆け寄る。
「あの自称人魚帰ったよー」
「《……》」
「何その顔」
《…A》
「?何…」
《カッコいい…!》
…………ね、寧々?
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なな(プロフ) - こういう話大好き!!続き楽しみにしてます! (10月24日 15時) (レス) @page30 id: fe31627149 (このIDを非表示/違反報告)
chisa - キメツ学園と地縛少年花子くんのコラボ、面白かったです。更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください応援してます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page31 id: c8930b3d1a (このIDを非表示/違反報告)
ふわにゃん - とっても面白いです!続き楽しみにしていますね! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 0abe5ea8a5 (このIDを非表示/違反報告)
水無月梅雨 - 犬夜叉要素があって、ものすごく笑いました!これからも頑張ってください!!! (2020年7月5日 12時) (レス) id: 82fc76c663 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - 犬夜叉の要素があったりしてめちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます!!! (2020年7月2日 21時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年3月27日 14時