拾肆ノ怪 アレは人魚じゃない ページ16
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…なんだ、この異様な空気に気配は。
《さてもさても、ヒトとはまっこと愚かな生き物よ》
「「!」」
《な、何!?》
未だ教室が揺れる中、ドプンッと中央に黒い渦の様なものが現れた。
机や椅子が巻き込まれる。
まるでそれは海に起こる渦潮の様。
《しかし喜べ小娘。今よりお前は妾の僕。精々可愛がってやろう》
「来たね」
花子さんは正体を知っているらしい。
寧々を庇う様に構えながら、現れる何かに目を遣る。
そして
黒い溝からザバァアアと音を立てて現れたのは……
「人魚」
《ククク…》
花子さんはアレをはっきりと人魚と言った。
その言葉に目が点になる。
ワカメの様な長い髪、ギョロリとした大きな瞳、魚の様な身体、大きさは私達の数倍大きい。
童話に出てくる様な人魚の面影なんかなかった。
《ヒイーーッッ人面魚!!》
「あれが人魚!?嘘だろ絶対!!に、人魚ってもっとこうさ…あれが人魚なんて…嫌だァアあああ!!」
「ザンネンだけど、あれが人魚だ。眷属になったヤシロを迎えに来たんだ」
「寧々を迎えに来た…?」
「…でも困るな。営業妨害だ」
そう言って花子さんが私達の前に庇う様に立った時、何だか嫌な予感がして、私は寧々が入っている水槽を持ってその場から後退した。
そして案の定、その嫌な予感は的中。
人魚は花子さんと距離を一気に縮め、《邪魔だ》と言って花子さんを殴り飛ばした。
飛ばされた花子さんはそのまま机に強くぶつかる。
「!」
《花子さん!》
けれど、殴られる直前に腕で防いでいたので、見た所軽傷で済んだ様に見えた。
それに少し安堵しつつ、上から見下ろしてくる人魚(信じたくない)と向かい直る。
《弱い弱い、七不思議如きが。千歳を生きる妾を相手に勝てる筈もなかろう。ククク…さあヒトの娘、妾の僕を渡せ。さもなくば、お前も痛い目を見るぞ?》
《A…っ》
「大丈夫」
ポロポロと泣きながらこちらを見上げる寧々に私は安心させる様に微笑んだ。
そして腕を押さえながら、立ち上がった花子さんに近付き、水槽を手渡す。
「花子さん、寧々をお願い」
「え…!」
《A!?危ないよ!》
「先刻言ったじゃん大丈夫、って。それに…」
今にも襲いかかって来そうな人魚(偽物だよアレ)を睨み、再び向き直る。
「人間だからって甘く見られるの…ムカつくしね」
さあ…今世初の戦いの幕開けだ。
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なな(プロフ) - こういう話大好き!!続き楽しみにしてます! (10月24日 15時) (レス) @page30 id: fe31627149 (このIDを非表示/違反報告)
chisa - キメツ学園と地縛少年花子くんのコラボ、面白かったです。更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください応援してます! (2022年10月10日 15時) (レス) @page31 id: c8930b3d1a (このIDを非表示/違反報告)
ふわにゃん - とっても面白いです!続き楽しみにしていますね! (2020年7月28日 19時) (レス) id: 0abe5ea8a5 (このIDを非表示/違反報告)
水無月梅雨 - 犬夜叉要素があって、ものすごく笑いました!これからも頑張ってください!!! (2020年7月5日 12時) (レス) id: 82fc76c663 (このIDを非表示/違反報告)
雨ノ宮紗綾 - 犬夜叉の要素があったりしてめちゃくちゃ面白かったです!更新楽しみにしてます!!! (2020年7月2日 21時) (レス) id: 83427b663d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年3月27日 14時