タルト事件 ページ4
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扉を開けると、ドカドカといかにも怒ってますオーラを纏いながらエースが入って来た。
「も〜、絶対ハーツラビュルには戻んねえ…。
今日からオレ、ここの寮生になる!!」
「にゃに〜〜!!?」
『え』
「もう聞いてくれよぉ〜!Aー!」とエースが私の両肩を掴んでグワングワンッと揺さ振る。
流石に起きたばかりでこれは辛いので、なんとか宥めて談話室へと移動して掃除したソファに腰掛けた。
「その首輪って、オレ様が入学式であの赤毛の上級生に付けられたヤツだゾ。
オマエ、何でそんなの付けられたんだ?」
「タルト食った」
『え?タルト?』
思ったよりも可愛いらしいもので、私とグリムはきょとんとして首を傾げた。
エースはタルトを食べて首輪をされたらしいが…
『えーと…それだけ?』
「そーだよ、それだけ!
小腹が空いたから寮のキッチンに行ったら、冷蔵庫にタルトが冷やしてあったんだよ。しかもホール三つ分も!だから…」
エースの話によると、夕食を食べ損ねたので冷蔵庫を開けるとタルト三つもあったので、一つくらい良いかと思いタルトを一切れ食べた。
けれど、そこにあの赤毛の上級生である…確か、リドル…先輩がやって来た。ちなみにリドル先輩はハーツラビュルの寮長なのだとか。
更にそのタルトは寮長のものだったらしく、勝手に食べた上に寮の法律を破ったエースは罰としてこの首輪を付けられた…と。
「……」
『……』
…何と言うか…何と言えばいいのか…。
てか、なんだその喧嘩!子どもか!?
寮長もどんだけタルト大好きなんだよ!甘党か?甘党なんだな!?
異世界の法律なんか知らんけど、女王の許しがないと食べた駄目とか…どんなんだよ!!
てか正直…
「どっちもどっちなんだゾ」
『それな』
「え〜!?でもさ、たかがタルトを盗み食いしただけで、魔法封じされるのはおかしくね!?魔法士にとっては手枷と足枷付けられるみたいなもんじゃん!
しかも三ホールもあるんだよ!?絶対一人で食い切れねーだろ!心が狭いにも程があるでしょ!」
『あー…うーん、まあ…』
「何だよぉ、その煮え切れない反応〜!」
「…ハッ!
もしかしたら三ホールもあったなら、パーティ用かもしれないんだゾ。誰かの誕生日とか。オレ様、名推理過ぎるんだゾ!」
「誕生日ィ?」
と言うか、エース君や。
『まずさ、謝った?』
「………」
オイ…マジかよこいつ。
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抹茶って美味しいよね(プロフ) - とても面白かったです!最新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2020年6月24日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年6月2日 2時