監督生と副監督生 ページ48
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そんなグリムの様子を見て、小さく学園長は溜め息を吐いた。
「全く話を聞いていませんね…。ユウ君、A君。ご覧の通りグリム君はまだ人間社会に不慣れです。君達がしっかり手綱を握って、騒ぎを起こさない様に監督する様に!」
「は、はい!」
すると、それを聞いたエースが私達よりも逸早く何処か楽しげに話に入り、そんな彼に続いてスペード君も嬉しそうに話に入り出す。
「あはっ!すげーじゃん、お前ら!入学したばっかで、もう監督生になっちゃった訳?」
「なるほど。お前達の寮に寮生は三人だけなのか…。つまり、学園長にグリムの監督を任されたユウとAが監督生って事になるんだな」
「プッ…前代未聞なんじゃねーの?魔法が使えない監督生なんてさ。…いいね、クールじゃん。魔法が使えない監督生!」
『え、待って』
「ん?どーしたんだよA。んな不思議そうな顔してさ」
「A?」
え、待ってよ。私がおかしいのか?
監督生ってのはいいよ、全然。全くもってなんの問題もない。
けどさ、
『監督生って二人もいります??』
「「「「…あー」」」」
『でしょ?監督生が二人居るなんてちょい変じゃね?と思うのはわ…俺だけ?』
そう言った私の意見がなんとなくわかったらしく、確かに…と言った表情をするユウ君達。
監督生とは、監督生は生徒から減点する権利を持ち、ある時は生徒の誘導もし、ある時は見回りもする。所謂生徒達のまとめ役。
ハリ◯タだと、監督生は男女一人だった。
あれだけの人数の生徒で、一人だけなのだ。なら、こちらも一人でいいではないか。
『って、事なので。監督生はユウ君、そんで俺はユウ君のサポート役って事でどっすか?』
「えっ!?…まあ、私は別にどちらでも構いませんが…」
「でも、僕ちょっと自信ないなぁ…」
『大丈夫!その為にサポート役の俺がいるんだから!別名、副監督生…ってのもアリじゃね?生徒会長と副会長的な?』
え、私にしてはグッドアイデア過ぎない?
これなら実質私も監督生みたいなもんだし、ユウ君ばかりに負担を背負わせる事もない。
少しドヤ顔しているとぎゅっと空いていた手をユウ君に握られた。
「ちょっと不安だけど、Aとなら頑張れる気がする。一緒に頑張ろうねA!」
『どうしようユウ君が可愛過ぎて困る』
「僕よりAの方が可愛いよ」
『やだこの子落とそうとして来るゥ』
「…なんだ、この茶番」
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時