これはトラウマもんだわ ページ40
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正しくギロッと言う効果音が付きそうな顔で二人を睨み付けるユウ君めっちゃ怖い。
そんなユウ君に睨まれたら震えない訳がない。さっきまでの喧嘩が嘘の様に二人は仲良くお互いを抱き締め合って震えていた。
確かにそれは私自身も少し思っていたが、全て終わってからでいいかと思っていた。
けれど、ユウ君は違ったらしい。
「ほら、早く言いなよ。あるよね、Aに言わなきゃならない事が」
「「(ガタガタガタッッ)」」
「…チッ、おい言えって言ってんだろ」
「「Aさんごめんなさい助けてくれてありがとうございましたッッッ!!!!(必死)」」
『ウン、モウイーヨ』
「…よし。全くもう、素直にそう言いなよ」
そう私が片言で返事をすると、それに満足したのか目に光が戻りいつものユウ君が帰って来た。ヨカッタ。
きっとこの出来事は、彼らにとってのトラウマになるだろうと私は確信した。
私に抱き付いているグリムも「怖えんだゾ…」と彼らと同じ様に震えていた。そんなグリムを優しく撫でる。
ユウ君…正直嬉しかったけど…ユウ君も怒ったらキャラ変わるのネ…。
今後怒らせない様にしなきゃ…。
「それにしても…どうしよう…。このままじゃ魔法石が取れないね、A」
『え!あ、うん。そうだね(急に話戻ったな…)』
「お、オマエら、バーンとド派手な魔法とか使えねーのか?(急に戻ったんだゾ…)」
「お、大掛かりな魔法や複雑な魔法の使用には訓練が要る…んです(コワカッタ。…でも、かっけえ)」
「だっだから魔法学校がある、んですよ。パッと思い浮かべた通りに魔法を使うにはかなり練習が必要…なんです(見た目に反して怖えぇ…!)」
…何だろ、今皆の思っている事が見えた気がした。ユウ君以外の。
と言うか、魔法を使うのって簡単そうで意外と難しいんだなあ。
こう…びゅーんヒョイッて出来るもんだと思ってた。
魔法を使うには冷静さが必要って訳か。
「なるほど…。だからグリムは火しか出せないんだ」
「ぐぬぬ…!」
『ユウ君の毒吐きは留まる事を知らない』
「ま、得意な魔法なら感覚で使えるんだけどねー。さっきの風みたいにさ」
「とにかく、僕は何とかしてアイツを倒して魔法石を持ち帰る」
「だーかーら。お前さー、シャンデリアのときといい実は相当馬鹿でしょ。さっき全然歯が立たなかった癖に」
「あれ、まだ何か?(黒ユウ降臨)」
「ゴメンナシャイ」
もうお前学習しろよ…。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時