突然現れたハートのチャラ男 ページ25
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掃除が終わったら図書館で勉強しようよ、と言うユウ君の言葉を聞いてブツブツと文句を言うグリムを連れて私達はメインストリートへやって来た。
そこには七つの人物の石像が飾られていた。
人の様な者も居れば、蛸の人魚の様な者、ライオンまで居た。
確かここの寮って全部で七つあるよね?
もしかしてこの石像って、その寮のモデルとなった人達なのかも。
人魚もライオンも居るって…。やっぱ異世界なんだな、ここ。
「昨日はよく見てなかったけど、この石像は誰だ?七つあるけど、何かみんなコワイ顔。このおばちゃんなんか、特に偉そうなんだゾ」
『お、おばちゃんて…。でも、本当になんかあれだなぁ…なんか全員悪役顔だ』
「何?ハートの女王も知らねえの?」
「『!』」
「ハートの女王?偉い人なのか?」
「昔、薔薇の迷宮に住んでた女王だよ」
突然話に入って来たハート柄の化粧をした男の子が、親切に説明をしてくれた。
冠を被り、ドレスを見に纏い、鼻を高くして笑っている様なやや太り気味の女性の石像。
彼女が、ハートの女王と言うらしい。
うわ…なんか、チャラいぞコイツ。
てか前にも聞いたなハートの女王。やっぱどっかで聞いたことあるんだよなぁ。
何処だっけ?確か…テレビで見た気がする。
「規律を重んじる厳格な人柄で、トランプ兵の行進も薔薇の花の色も一切乱れを許さない。マッドな奴らばっかりの国なのに、誰もが彼女に絶対服従。何でかって?
________規律違反は即打ち首だったから!」
…うん、説明してくれるのは大変有難い。
私らはここに来たの初めてで、わからん事ばっかだから。
でもさぁ
初対面で、しかも挨拶もなしでお互い名前も知らないのに、何でこんなに親切なの?
絶対何か考えてんでしょ、コイツ。
…しかも、なんかちょっとだけだけど、快斗と似てる気がしなくもなくもない。
「こ、こえーんだゾ!」
「クールじゃん!オレは好き。だって、優しいだけの女性なんて皆従わないだろ?」
「確かに。リーダーは強い方がいいんだゾ。って言うか、オマエは誰だ」
そう、それ。それが私も聞きたかった。
代弁してくれてありがとうグリム。
いきなり現れたコイツは、一体どちら様?
「オレはエース。今日からピカピカの一年生。どーぞヨロシク♪」
にこっと笑って自己紹介をしてくれた、エースと言う名の男の子。
その顔が、やはり何処か快斗を思わせた。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時