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ガラガラと車輪が道路を動く音を響かせ、駅から翔北まで歩く。
春がすぎ、夏が近づいているのか日中は汗ばむくらいの暑さだ。
駅から翔北までの2km程の道のりを歩きながら、景色を見回す。
初めて翔北に赴任してきてから、10年間暮らしたこの街はとても懐かしい匂いがする。
川の水の匂い、アスファルトの匂い、雑草の匂い、木の匂い、車のガスの匂い...
たった1年、海外へ行っていただけなのにこんなに懐かしさを感じるくらい、向こうの国は雰囲気も何もかも違うのだ。
ゆっくりと歩いて20分ほど経つと、目の前には懐かしい建物が見えてきた。
翔陽大学付属北部病院、略して翔北
エントランス周辺には患者や看護師ら医療従事者が思い思いに過ごしていたり、庭に目を向ければ入院患者とその家族が散歩をしていたり、子供のはしゃいだ声が聞こえる。
俺はエントランスには入らず、そのまま曲がってヘリポートへと向かう。
ああ、懐かしい...
特徴的な形をした真っ白な機体を目にした途端、フライトドクターとして勤務していたあの時のこと全てが一気に思い出された。
喜怒哀楽、全ての感情を胸に毎日のように見て、乗り続けたドクターヘリ。
救えた患者もいる。
救えなかった患者もいる。
沢山笑って、学んで、時に泣いて、このドクターヘリは俺たちの全てを見続けていたのだ。
そして、ヘリポートの目の前にある真っ白な柵。
俺はよく、彼女と2人でそこに間を開けてコーヒーを飲みながら話す時間が好きだった。
俺はブラックコーヒーで、あいつはカフェオレ。
"藍沢"と"白石"のように、正反対の色をした飲み物が好きだった。
俺はふと、ずっと持っていた紙袋を持ち上げる。
そして、そのまま腰をあげて病院の中へと足を踏み入れた。
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Noa(プロフ) - あかりんごさん» はじめまして。pixivでしたら同一人物です。見つけて下さりありがとうございました。 (2020年8月16日 16時) (
レス) id: e4c16b987b (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご - 私この小説見たことあります！！！確かpixivだったような…違ってたらごめんなさい (2020年8月16日 16時) (レス) id: 89de9314a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sakuraba_akebi | 作成日時：2020年6月30日 17時
