54 ページ5
.
気持ちが落ち着いた、おかげで気付いてしまうジェシーと樹の私を待つ視線。「高地は呼んだぞ？」みたいな…。
分かってるよ、呼ぶよ。
「…優吾、くん」
「…で、いい？」
一番最初に知ったのが苗字だったから。名字で呼んでいたけど、ジェシーも樹も名前なのに、一人だけ苗字は変かと思ってジェシーに教えてもらっていたし、名前で呼んでみた。
どうしてか呼び捨ては出来なかったけど、前よりは距離感近いだろう。…同じ年だし呼び捨て敬語なしで距離感縮めようってことだよね？今のこのやりとり。
高「下の名前、知ってたんだ…」
「この間、ジェシーに教えてもらって。漢字も教えてもらった」
高「あぁ、そう…っすか」
「…名前はあんまり好きではない？」
高「そう言う訳じゃなくて…」
ほんのり顔を赤く染めた優吾くん。まさかそんな顔になると思わずこっちまでつられそうになる。気持ちは落ち着いたと言えど、慣れない呼び方は緊張するんだから。
高「名前で呼ばれること、あんまりないから、慣れなくて…」
私が慣れない呼び方に緊張しているのと反対に呼ばれることに慣れないという優吾くん。…それなら今まで通りでいいのでは？と思うけどせっかくの機会だし、このまま名前呼び、でもいいかな。
樹「確かに、高地って高地って呼ばれてるよな。名前中々聞かないかも」
高「そうなんだよ。だからすげー新鮮でビックリした」
樹「ドキッとしちゃう？」
高「…慣れないからね！」
2人の間で少しだけ流れたむず痒いような雰囲気のなかに樹の声が入ってその雰囲気が一気になくなる。
「あーもう…ただのバイト中に変な汗かいた。はい、おつりです」
ジ「でもいいじゃん？仲良くなった感あるじゃーん」
「そうだけどさー…」
手渡したお釣りを仕舞うジェシー。二人でコソコソ話して優吾くんがちょっと怒ってそれを見て笑う樹。多分この人たちの自由さが詰め込まれてる気がする。
ジ「さ、帰ってのものも！」
樹「おー！お騒がせしましたー」
財布を仕舞ったジェシーがお酒とおつまみの入った袋を持つ。で、樹は優吾くんの肩を組む。肩を組まれ不思議そうな顔をする優吾くん。
高「なにこれ」
樹「え、高地も行くっしょ？ジェシーん家」
高「行かねぇよ！？帰るよ！？」
ジ「え？こーちの分も入ってんだけど？」
高「はぁ！？お前ら勝手に…！俺バイク！」
ジ「いつもんとこ置けばいいじゃん！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 354人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
