sound 2 (ページ37)

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　殴り書きで『舌打ちしたな！？』と書いて見せれば次はでっかいため息をつかれた。

京「機嫌よく見えるんならよかったわ」
　『見えるけど…ほんとは悪い？』
京「しっかり悪いわ。…ただ、樹が少し優しくしろって言ってたから。…ちょっと反省も込めて」

　ばつの悪そうに言う言葉に余計に疑問がわく。さっき通路でしてた会話はそれですか？少し優しくしろってやつですか？なんで？しかもそれで反省を込めるようになるってどういうこと？大我が反省するようなこと、ある？

京「言われたんだよ。あいつあんまり元気ないぞって。だから…原因は分かってるし、俺も大人げなかったというか…そう思ったというか…。」

京「つーか樹の奴。お前の声の状態分かってて喋らせやがって。」

京「こういう風になるから……だから、会わせたくなかったんだよ。それなのに知らないうちに仲良くなってるし、そのこと知らせてこねぇし」

京「俺に言ってないこと色々あるだろ。今まで一応気にかけてたのに…。あいつらの早さについてけねぇのよ」

　急に一気に話し出したと思ったらもっともっと疑問が湧いてしまう。一個ずつ処理したくてメモに「ちょっと待って」と書いて見せればムッとした顔でこっちを見て「なんだよ」なんて呟く。

　『なんで大我が反省してんの。悪いの私じゃん』

　『病院行けって言ってくれてたのにいつまでも行かなくて、いよいよになって行ったら歌えないって言われて、勝手にやめるって言って』

　『私がもっと早く病院に行けばよかった。歌えないって言われても最初に相談してから色々決めればよかった。なのに全部勝手にやって…怒られるの当たり前だもん』

　
　一気に書いて見せれば、大我の眉間の皴が取れる。そして眉が下がる。そのままこっちに視線を持ってくるから、読み終わったんだと解釈して、メモをまた自分の手元に持ってくる。手の平を大我に見せて「待って」ということを知らせて、ペンを手に取る。

　『だから、ごめんね。この間は急にやめるって言って。そして怒鳴ったりして』

　その文を見せれば、じっとそれを見た後に、手を私に向ける。

京「ペン」

　一言だけ言うそれに素直に従いペンを渡す。そして、メモに向き合う大我。さらさらと文字を綴ったと思えばすぐにペンもメモもつき返してくる。

京『こっちこそごめん』

　その一文が見えた瞬間にじわっと目頭が温かくなった。