sound 2 (ページ21)

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　「…あの、お金は？」
ジ「…やっぱりなんかあったよね？」
　「ないって。大丈夫だから」
森「…ジェシーに比べてまだそんなに関わりが深いわけじゃない俺でも分かるくらい、なんかあった感じだけど？」
　「ない。大丈夫」

　私とバンド。…主に大我とのこと。それをこの二人に話すのは違う気がしたし、話すにしてもまだ私の頭の整理がついていない。感情も追いついてない。

　それにこの二人はライブを見に来てくれている。特にジェシーなんてよく来てくれている。なのに、バンドのこれからに関わること、話せない。

ジ「誰かに聞いたんだけど、」

ジ「大事なところを隠して、でも、話して見た方が楽になることもあるんだって」

ジ「それで頭の中とか、整理？できる…みたいな。」

ジ「何でも聞くからさ、嫌じゃなかったら聞かせてよ。俺、そんな顔してるの見ると、心配」

　ジェシーが入店してきた時に顔を合わせてから、一度も上げなかった視線を思わず上げる。いつもの調子じゃなくて、少し震えた声をしていたから、驚いちゃって。

　そこには眉を下げて真剣な顔をするジェシー。その横で、そんなジェシーを見る森本くん。

　そんな顔で見られたら、なんかまた、目に膜が張ってくるような感じがして慌ててそらす。もうすでにこの件で優吾くんに甘えてしまっているのに、ジェシーと森本くんまで巻き込めない。

　これは、私と大我の問題。

　……だから冷静になって話すべきだったんだ。大我と。思い返せばずっと引き留めてくれてた。あの人はずっと私のことを気にして、心配して、私が本心では「やめたくない」と思ってるのも分かってくれて他の案を考えてくれようとしてた。

　なのに私は「もうやめる以外ない」と突き放して…

　あぁ、またこんなことを考えてたら自分の行動の後悔で泣きそうだ。さっきのジェシーの優しい言葉も効いてる。泣いてるとこなんて見せたくない。だから、早く会計をして、帰ってほしい。

ジ「…話せなければさ！気分転換にまたどっか出かけようよ！今度はちょっと遠くに行くとか！」
森「え！？2人どっか行ったの！？」
ジ「…あ！秘密にしてたのに…言っちゃった！」

　私が返答しないうえにまた顔を逸らしたから。雰囲気を変えようと明るい調子で話し出す二人に申し訳なさが募る。そんな優しい二人に「帰ってほしい」なんて思ってしまっていたから、余計に自分がひどいやつのように思えてくる。